2010 Fiscal Year Annual Research Report
気候変動と総人口減少の複合要因による沿岸域脆弱性変化の推定と適応策
Project/Area Number |
22510025
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
信岡 尚道 茨城大学, 工学部, 准教授 (00250986)
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Keywords | 地球温暖化 / 人口成長 / 沿岸域管理 / 海面上昇 / 高潮 |
Research Abstract |
本年度はでは,初期の検討として茨城沿岸を実対象として海岸防御施設が無い場合を想定し,人口成長と海面上昇を考慮した将来の高潮浸水人口を定量的に予測した.その中には海面上昇と人口成長には不確実性を取り入れるため複数のシナリオをもとに予測を行った.主な成果は次の通りである. 茨城県の将来人口を推計した結果では,SRESシナリオにより人口減少の程度が異なるが,現在から2100年までに約100~220万人減少することが推定され,沿岸域の人口もこれに従い減少する結果となった 海岸防御施設が無い場合,高潮氾濫域は現在に比べ2100年では約1.5倍になり,建物用地や港湾などに代表されるその他用地と,森林で増加が大きくなった.この森林には防砂・防潮林として長年整備されてきたものが多く含まれる.氾濫域が拡大するに関わらず氾濫域の人口は負の人口増加に伴い2100年には浸水域人口の増減がA2シナリオではほぼ無く,A1Bシナリオでは約8割に減少,B2シナリオでは約4割に減少する結果となった.この浸水域人口を人口密度との関係で調べた結果,1ha当たり2~3世帯(軒)に該当する人口密度が低い範囲(10人/ha以下)に定住する浸水人口が,総浸水人口と比べ現在では約5割,将来では8割も占める結果となった. この研究成果の意義と重要性は,次の政策提言でまとめられる.上述成果内容から導かれた期待される政策は、今後の沿岸域管理において,海岸防御のみでなく低人口密度の地域における移住および建築様式や土地利用の変更の可能性を,護岸や堤防の有無と防砂・防潮林の維持の関係を含めて,検討する価値がある.
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