2011 Fiscal Year Annual Research Report
気候変動と総人口減少の複合要因による沿岸域脆弱性変化の推定と適応策
Project/Area Number |
22510025
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
信岡 尚道 茨城大学, 工学部, 准教授 (00250986)
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Keywords | 地球温暖化 / 人口成長 / 沿岸域管理 / 高潮 / 津波 |
Research Abstract |
本年度は,昨年度の茨城県沿岸を対象としたデータ整備の方法に従って,福島県,千葉県,東京都沿岸のデータ整備を進めた.陸上標高データについては国土地理院の基盤地図情報の数値標高モデル(10m)と一部は同モデル(5m)を収集し,本研究に利用できるように整えた.人口データについては,国立社会保障・人口問題研究所が作成した県別および市町村別の推定人口データを収集し,また過去の人口分布については国勢調査に基づいた1/2地域メッシュのデータを整備した.そしてコーホート要因法モデルを用いて独自の将来人口を各県の沿岸域の市町村単位および県全域で推計して,1/2地域メッシュで各沿岸域の将来人口を推計した.この推計には地球温暖化に関わる温室効果ガスの排出シナリオに基づいた国別の人口成長率(CIESIN,コロンビア大学)と一致するものであり,海面上昇シナリオとも対応するものである.また国立社会保障・人口問題研究所の長期人口推計とも大きな傾向について矛盾しないことも確認した.さらに,各沿岸の100年確率の高潮浸水域を推算,さらに浸水域分布と人口分布データをGIS上で統合して,対象沿岸域の脆弱性評価を試行した. 対象地域の大半は,2011年東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)による津波の影響を受けた地域であり,このうち4分の1~3分の1の範囲では津波災害による人口移動(転出)の可能性が指摘されている.評価には災害前のデータに基づいているた,災害の影響が考慮できていない.上で述べた脆弱性評価を実施した範囲のうち津波による浸水を受けた地域,その地域に隣接した地域を特定するデータを整備し,評価の在り方について分析を進めつつある.これは研究の目的である「21世紀末の沿岸域の姿を定量的に示し,対応策を提示する」ために欠かせないものである.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究対象域のほとんどが東日本大震災で津波被害を受けた地域であるため,基礎データを所有する自治体からの協力を得るのが難しい状況であった.そのため,代替データの整備などで時間を費やした.
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Strategy for Future Research Activity |
研究対象域のほとんどが東日本大震災で津波被害を受けた地域であり,その3分の1は津波被害により人口が変動している.しかし,その変動の把握することは困難な状況である.以上により,現実的な将来予測が研究期間内には難しいことから,代替案として津波浸水による影響項目を追加して,災害リスクによる不確実性も考慮することも視野に入れて,研究を進める.
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