2010 Fiscal Year Annual Research Report
遊泳能力の低い冷水性底生魚を用いた、温暖化にともなう水温上昇の影響評価手法の確立
Project/Area Number |
22510034
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Research Institution | Chiba Institute of Science |
Principal Investigator |
棗田 孝晴 千葉科学大学, 危機管理学部, 講師 (00468993)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古屋 康則 岐阜大学, 教育学部, 准教授 (30273113)
田原 大輔 福井県立大学, 海洋生物資源学部, 講師 (20295538)
山家 秀信 東京農業大学, 生物産業学部, 講師 (40423743)
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Keywords | 冷水性底生魚類 / 温暖化 / 水温 / カジカ種群 / 流程生息分布 / 河川工作物 / 河川内移動 / 産卵行動 |
Research Abstract |
本研究では、遊泳能力が乏しく、かつ冷水環境を好む底生の淡水魚類であるカジカ種群をモデル生物とし、水温上昇によるストレス因子が彼らの摂餌行動、成長、移動、繁殖および生殖生理活性に及ぼす影響について野外調査と室内実験の双方のアプローチによって検証し、地球温暖化にともなう冷水性底生魚類への影響評価手法を確立することを目的とする。野外調査は長野県千曲川水系(大卵型)、茨城県那珂川水系(大卵型)、福井県南川水系(中卵型・大卵型)で実施した。今年度の主な成果は以下の3項目である。 (1)流程生息分布状況:福井県南川において、河川型のカジカ大卵型は本流の中上流部に、両側回遊型のカジカ小卵型は河口から約8キロ上流まで、降海回遊型のアユカケは河口約5キロの堰堤まで分布していた。採集個体数は少ないが、中流部では大卵型と中卵型が同所的に採集できる地点が存在した。 (2)河川工作物が移動に及ぼす影響:河川陸封型のカジカ大卵型を対象として、標識再捕法を用いて河川工作物の上下区間における個体の河川内移動を追跡した。その結果、50cm以上の落差がある区間では上流から下流への一方向的な移動のみが生じていることを明らかにできた。また、カジカ大卵型と生息域が重複する底生魚(アカザ)の食性比較から、両種が餌ニッチを一部共有する可能性が示唆された。 (3)実験水槽下における産卵行動の観察:両側回遊型のカジカ小卵型を対象として、産卵行動の観察を試みた。室内に設置した水槽内で数回の産卵を確認し、ビデオ撮影に成功した。産卵に先立つ雄の行動の特徴と、産卵時の雌雄の行動を明らかにできた。また、カジカ小卵型の雄では繁殖期に体表からの粘液分泌が活発化することが組織学的観察によって示された。
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Research Products
(12 results)