2012 Fiscal Year Annual Research Report
遊泳能力の低い冷水性底生魚を用いた、温暖化にともなう水温上昇の影響評価手法の確立
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22510034
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Research Institution | Chiba Institute of Science |
Principal Investigator |
棗田 孝晴 千葉科学大学, 公私立大学の部局等, 講師 (00468993)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田原 大輔 福井県立大学, 公私立大学の部局等, 講師 (20295538)
古屋 康則 岐阜大学, 教育学部, 准教授 (30273113)
山家 秀信 東京農業大学, 生物産業学部, 講師 (40423743)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 冷水性底生魚類 / 温暖化 / 水温 / カジカ種群 / 流程生息分布 / 河川工作物 / 河川内移動 / 産卵行動 |
Research Abstract |
本研究では、遊泳能力が乏しく、かつ冷水環境を好む底生の淡水魚類であるカジカ種群をモデル生物とし、水温上昇によるストレス因子が彼らの摂餌行動、成長、移動、繁殖および生殖生理活性に及ぼす影響について野外調査と室内実験双方のアプローチによって検証し、地球温暖化にともなう冷水性底生魚類への影響評価手法を確立することを目的とする。野外調査は長野県千曲川水系(大卵型)、茨城県那珂川水系(大卵型)、福井県南川水系(中卵型)で実施した。今年度の主な成果は以下の3項目である。 1.河川工作物によって枝沢間の移動が妨げられている千曲川水系の支流7枝沢のカジカ大卵型の外部形態27形質についてモルフォメトリー手法を用いて調べた。判別分析によって得られた第1主成分と第2主成分の平均スコアから、同一水系内の枝沢集団間において形態の差異が存在することが示された。 2.那珂川水系相川のカジカ大卵型個体群を用いて、周年にわたり生殖腺の発達状態を組織学的に調べた。雌魚では9–10月に卵黄胞形成、11–1月に卵黄形成を行い、2–3月にかけて繁殖が行われ、3–5月の間に繁殖を終了することが示唆された。2–3月の繁殖期には発達途上の卵母細胞とともに排卵後濾胞を持つ個体が確認され、本種が1度の繁殖期に複数回の産卵を行っていることが示唆された。また、雄魚では、10月に精子形成を開始し、12月には繁殖が可能となり、その状態を3月まで維持し、3月から5月の間に繁殖を終了することが示唆された。 3.異なる水温(5,10,15℃)と塩分(淡水,汽水,海水)で両側回遊性のカジカ中卵型の孵化仔魚を飼育した結果、海水および淡水のいずれにおいても15℃で生残が最も悪かった。温暖化により河川水温が上昇すると、河川流下時の卵黄消費が早くなることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(16 results)