2011 Fiscal Year Annual Research Report
樹脂(プラスチック)原料への感作状況に関する実態調査
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22510036
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
川本 俊弘 産業医科大学, 医学部, 教授 (60177748)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻 真弓 産業医科大学, 医学部, 講師 (40457601)
田中 政幸 産業医科大学, 医学部, 助教 (80412633)
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Keywords | アレルギー / 樹脂 / プラスチック / 免疫グロブリン / 化学物質 / IgG / 実態調査 / 蛋白質付加体 |
Research Abstract |
平成23年度は(1)昨年度開発した診断用抗原作製および特異的抗体検出法の再検討を行い、樹脂(プラスチック)原料曝露の評価方法を確立するとともに、(2)一般住民へのアレルギー症状に関する質問票調査と血液の収集を行った。 (1)樹脂(プラスチック)原料曝露の評価方法の確立 昨年(平成22年)度に開発した診断用抗原および特異的抗体検出法に対して、平成23年度に2つの問題点が浮かび上がった。一つは診断用抗原が非特異的に抗ヒトIgG抗体(2次抗体)と反応することであった。この理由について検討したところ、診断用抗原作製に用いるヒト血清アルブミン(HSA)の純度が低く、免疫グロブリンが混入しているためと判明した。そこでグロブリン・フリーのHSAを用いることにより問題を解決した。二つ目にドット・フロットにおいて作業能率向上と取り違え防止のために添加していた色素(BPB:Bromophenolblue)が化学物質付加HSAの抗原性を修飾することがわかった。そこでBPB濃度を最小限とすることにより、BPBによる抗原性修飾を無視できるレベルに下げた。以上により、信頼性および再現性の高い樹脂(プラスチック)原料曝露の評価方法が確立できた。 (2)一般住民に対するアレルギー症状に関する質問票調査と血液収集 北九州市およびその近隣の市町村に在住する妊婦100名超に対して、インフォームド・コンセントを得たのち、質問票調査および血液の収集を行った。調査時期は妊娠初期から中期にかけてである。血清分離後、(1)で確立した方法を用いて樹脂(プラスチック)原料に対する免疫グロブリンの測定を開始した。 上記の(1)、(2)に加えて、第47回欧州毒科学会(パリ)にて研究成果を発表するとともに海外の専門家と情報交換し、本研究が国際的にも独創性が高いことを再確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
評価方法の開発(平成23年2月に特許出願)および改良が順調に行われ、信頼性および再現性の高い分析ができるようになった。また、実態調査の参加者も平成24年3月時点で100名以上となっている。参加者は現時点でも募集中である。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度に血液中における樹脂(プラスチック)原料曝露に対する特異的抗体の検出方法が確立できたことは、今後の研究推進においてとても有用なことであった。方法論の確立と並行して一般住民から採血および質問票調査も行っており、現在までに約100人分の血液および質問票が集まっている。平成24年度には、さらに多くに研究参加者を募るとともに、血液および質問票を分析することにより、樹脂(プラスチック)原料への感作状況が解明できると考えている。
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Research Products
(13 results)