2011 Fiscal Year Annual Research Report
化学物質による環境リスクの対話型地域コミュニケーションシステムの開発
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22510047
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
村山 武彦 東京工業大学, 総合理工学研究科(研究院), 教授 (00212259)
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Keywords | 化学物質 / 放射性物質 / リスクコミュニケーション / 市民意識 / 関心・行動 |
Research Abstract |
本年度は前年度に実施した全国の自治体向け質問紙調査の結果を踏まえて、対象となる地域を特定した上で、地域住民の環境リスク管理に対する関心・行動とリスクコミュニケーションに対する意識を調査し、両者の関係を分析することを主な目的とした。特に、2011年3月11日の東日本大震災に続いて発生した福島第一原子力発電所の事故により、放射性物質が拡散し、一般市民の放射線リスクに対する関心が急速に高まったことから、従来より対象としていた化学物質に加え、放射線のリスクについても合わせて質問することとした。 具体的な対象地域として、神奈川県の藤沢市を選定した。この理由として、前年度に行った自治体向けの調査によりリスクコミュニケーションに対して比較的前向きな姿勢を示していたことが挙げられる。調査の実施期間は2011.12.11~12.20で、質問紙の配布数は1,000部、有効回答数は177部で、有効回答率は17.7%であった。質問紙は調査の結果を通じて、住民の関心、行動、行政・事業者の活動に対する意識における関係図を作成したうえで構成した。 調査の結果から、化学物質と放射線に対する住民の意識や行動には共通点が多くみられたが、放射線のリスクの方が比較的イメージが悪く、複数の項目を通じて気になる内容の割合が高かった。また、化学物質・放射線ともに、女性の方が不安感を持っている割合が高く、情報も不十分であると感じていた。リスクコミュニケーションに対して参加意欲を示した割合は半数近くあり、リスクコミュニケーションの必要性とその方法についてもより具体的な検討を進める必要があることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度の全国の自治体を対象にした調査の結果を踏まえて、特定の地域を対象に市民意識を対象とした質問紙調査を実施し、今後の展開につながる結果が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで実施した調査結果に基づいて、リスクコミュニケーションに関する自治体や市民の意識や行動の傾向を整理するとともに、過去の関係事例を整理し、データベース化する。 なお、原子力発電所の事故が発生したことにより、環境リスクに対する市民の意識や行動がこれまでとは異なるモードで展開していることが本年度の調査を通じても判断されることから、当初対象物質として予定していた化学物質に加えて放射性物質によるリスクも視野に入れながら、今後の調査を計画することとする。
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