2011 Fiscal Year Annual Research Report
都市における自然エネルギー機器普及策と地域住民の受容性に関する理論的・実証的研究
Project/Area Number |
22510050
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
松岡 憲司 龍谷大学, 経済学部, 教授 (40141668)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻村 元男 同志社大学, 商学部, 准教授 (40335328)
増田 啓子 龍谷大学, 経済学部, 教授 (20229371)
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Keywords | NIMBY / 仮想評価法 / 洋上風力発電所 / 特異確率制御問題 / 最適投資戦略 / 環境アセスメント / 景観保護 / 野鳥保護 |
Research Abstract |
(1)現地調査 環境アセスメント制度の改正に伴う風力発電事業の位置づけについて調査を実施した。県自然保護連盟や日本野鳥の会や菅平自然研究会などの9団体による反対によって事業中止となった長野県須坂市峰の原高原の風力発電施設建設計画や、猛禽類への影響や山岳景観破壊が問題とされ中止となった伊那市の入笠山での風力発電計画である。 またイギリスにおいて、NIMBY問題の解決策としての洋上風力についての調査を実施した。調査日程の中で、University College of Londonでセミナー報告の機会を得、日本の風力発電事情について報告した。 (2)リスクに関する調査 企業の投資プロジェクトとして、資本への投資について考察した。投資から得られる将来のキャッシュフローに不確実性が存在し、さらに事業環境に対応して,資本を拡張あるいは縮小可能であるとする。資本の拡張あるいは縮小の際に要する費用としては,その規模に依存した費用のみがかかるとする。このような企業の資本への投資問題を,特異確率制御問題として定式化し分析を行い,最適な投資戦略を示した。これらの結果は、Annual International Conference on Real Optionsなどの国際会議で報告した。 (3)NIMBY調査 昨年度のパイロット調査にもとづいて、風力発電に対する住民の懸念を金銭的に評価するとどのようになるのかを調査した。全国7道県の住民各100人、計700人にアンケート調査を実施した。そこから得られたデータを仮想評価法(CVM)によって、風車建設による被害を防ぐ手段への投資にともなう電気料金の値上がりをいくらまで受け入れるかを尋ねた。このデータにもとづいて支払い意思額の推計を進めているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現地による実態調査、リスク分析、アンケートによるNIMBY調査、すべて23年度に計画していたことを実施できた。
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Strategy for Future Research Activity |
23年度に実施したアンケート調査で得られたデータの分析を進める。その分析によって十分に明らかにできなかった点について追加調査を実施する。追加調査によって得られたデータも含めた全データの分析結果を、国内外のセミナーや会議等で報告し、そこで得られたコメントを考慮して最終報告書をまとめる予定である。
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Research Products
(5 results)