2010 Fiscal Year Annual Research Report
石綿飛散リスクの軽減と無害化・循環利用に係る事業化要件の算定手法に関する研究
Project/Area Number |
22510054
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Research Institution | Tobishima Research Institute of Technology |
Principal Investigator |
内田 季延 飛島建設株式会社技術研究所, グループリーダー (20443640)
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Keywords | 環境経済 / 環境マネジメント / 環境と社会 / 合意形成 / 安全・安心 / 石綿・アスベスト / 環境影響評価・環境政策 |
Research Abstract |
本研究は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律等の関連法規制では認められていない、廃石綿等を含む石綿含有廃棄物の中間処理(水中破砕・固化)と専用処分場を開設することで石綿繊維の広域大気飛散リスクの軽減と循環型社会形成への寄与を目指している。そのため、本年度は、まず試験における石綿含有廃棄物の利用等に関して、環境省、厚生労働省、自治体等のヒアリング結果を整理した。試験での石綿含有材の利用に関して、厚生労働省は、製造等禁止物質の製造・輸入・使用許可申請手続きに従うことで可能との判断であり、環境省は実施に際して自治体の判断を求めているが、関連通達に従ってマニフェストを伴う廃棄物ではなく、試験体として石綿含有材を利用できるとしている。一方、自治体は対応先によって判断が大きく異なっている。事業者の研究機関が実施する試験研究であっても、石綿関連は認めないとする処や、試験研究であっても形態を変える中間処理は容認できないとする処から、試験実施を容認する処までと判断が分かれる結果となった。このことは、新しい処理スキーム(手中破砕・固化、専用処分場)を実現するためには、ある程度詳細を規定した法改正によらざるを得ない面があることを示唆している。次に、石綿除去工事及び廃棄物処理業者等へのヒアリングでは、平成23年四月から施行される廃石綿等の埋立処分基準の改正による固化要件等における実際の仕様についての懸念が示された。これも排出先の当該自治体によって判断が異なる場合、除去作業計画に遡って事前対応が必要となるためである。法改正は、埋立処分場での飛散防止強化を求める社会の要望に基づき規制を強化したものであるが、一方で処理事業者側あるいは排出事業者の負担増となる。また、あくまでも飛散防止のための固化処理であり、将来的な循環利用は想定していない。成果は、平成23年度廃棄物資源循環学会研究発表会にて報告予定である。
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