2010 Fiscal Year Annual Research Report
細胞の紫外線抵抗性における損傷乗り越えDNAポリメラーゼ間相互作用の生理的意義
Project/Area Number |
22510063
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
横井 雅幸 学習院大学, 理学部, 助教 (00322701)
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Keywords | 紫外線 / DNA損傷 / 損傷乗り起え複製 / DNAポリメラーゼ |
Research Abstract |
損傷乗り越え複製(TLS)ポリメラーゼを複数欠損したマウス胚性線維芽細胞(MEF)を用いた研究から、新たな知見が得られた。polη欠損MEFに不活性型polηを発現すると僅かに紫外線感受性は弱まるが、さらにREV1相互作用不全変異を併せ持つpolηでは、polη欠損MEFと同程度の強い感受性になる。今回、polηとpolκの両者を欠損したMEFを用いて同様の実験を行った結果、不活性型polηの発現でも紫外線感受性に変化はなかった。この事は、不活性型polηを発現するpolη欠損MEFで認められる紫外線抵感受性低下はpolκによるものであり、さらにpolηとREV1の相互作用がpolκを損傷部位へ導入するために必要であることを示している。この結果は、TLSポリメラーゼの切り替え機構を考える上で重要な知見と言える。また紫外線突然変異解析の結果から、不活性型polηを発現するpolη欠損MEFで認められる僅かな紫外線抵抗性の上昇と突然変異頻度の上昇に密接な関係のあることが分かった。以上の事から、polηとREV1を介して紫外線損傷部位へ導入されたpolκによるTLS反応は、細胞の生存率を上げるものの、突然変異頻度を上昇させることが強く示唆された。さらに計画に従って実施したTLSポリメラーゼの定量的解析から、polηのタンパク質量が紫外線照射した皮膚の異なる組織において、異なる変動パターンを示すことを突き止めた。 一方、申請者の使用する動物飼育施設の新設に伴い、申請課題で対象としているマウス系統の移動に際してクリーニング等の処置が必要となったことから、個体レベルの研究課題については当初の予定に遅れての着手となった。なお昨年度3月に発生した東日本大震災の影響を受け、現在も飼育施設の使用が制限されている状熊であり、初年度目標の一部を次年度へ持ち起すこととした。
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Research Products
(2 results)