2012 Fiscal Year Annual Research Report
昆虫忌避剤・防虫剤の吸入暴露による化学物質過敏症などの炎症性疾患発症と病態解析
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22510072
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
横田 恵理子 慶應義塾大学, 薬学部, 講師 (10222457)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 炎症反応 / アレルギー / 化学物質過敏症 / シグナル伝達 / 防虫剤・殺虫剤 |
Research Abstract |
家庭や地域において日常的に頻繁に使用されている、昆虫忌避剤(DEET: N,N-diethyl-m-toluamide)やピレスロイド系防虫剤の細胞機能に及ぼす影響を検討した。これら化合物の呼吸器系への影響を検討するモデル系として、ヒト由来肺胞上皮細胞株A549を用い、リポ多糖(LPS)による①サイトカイン・ケモカイン産生、②肺サーファクタントタンパク質の発現誘導、③細胞内シグナル伝達系の活性化、について検討した。 ①A549細胞は恒常的に単球や塩基球遊走因子であるCCL2を産生するが、LPS刺激により好中球遊走因子CXCL8を産生し、IL-4刺激により好酸球遊走因子CCL26を産生する。DEETおよびピレスノイド系のアレスリン、デルタメトリン、レスメトリン(3~100μM)は、これらケモカインの産生にはほとんど影響しなかった。 ②サーファクタントタンパク質A(SP-A)はリン脂質代謝を担う一方で、肺胞マクロファージの貪食反応を促進させることが知られている。A549はサーファクタントを分泌するII型細胞由来であるため、SP-Aを恒常的に発現しているが、LPSはその発現を増加させる事が報告されている。DEETおよびアレスリン,デルタメトリン、レスメトリン(3~30μM)は、それぞれ単独でSP-A増加作用を示した。 ③ケモカイン産生やSP-A発現には、細胞内情報伝達系のMAPKや転写因子NF-kBの活性化が関与している。これら化合物は単独でSP-Aを増加させたことから、細胞内情報伝達系への影響を検討した。昨年度までの結果では、ラット由来RBL-2H3細胞でアレスリンは単独でERK活性化を引き起こしたが、A549細胞においてもERK活性化をLPSと同様に引き起こした。以上の事から、DEETやピレスロイド系防虫剤の一部は、単独で呼吸器系において免疫反応を活性化する事が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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