2012 Fiscal Year Annual Research Report
環境化学物質と紫外線の複合作用により生成する変異原の解析とその抑制法
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22510075
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
太田 敏博 東京薬科大学, 生命科学部, 教授 (10266893)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 光遺伝毒性 / 変異原性 / 紫外線 / 環境化学物質 / たばこタール |
Research Abstract |
たばこの主流煙・副流煙に含まれるタール成分と紫外線との複合作用で新たに生じる変異原性について研究を進めている。タバコタールには多環芳香族炭化水素やニコチンなど生体内で代謝されて変異原性を示す物質が存在することはすでに報告されているが、我々は副流煙タールに近紫外光(UVA)照射することでこれまで知られていなかった変異原性が現れることを見いだした。そのメカニズムを明らかにすることを目的として研究を行っている。平成24年度は、タバコタールの捕集方法(国際標準モードのISO法とカナダ保健省が推奨しているHCI法)を変えて、採取したタールの変異原性の強さを比較した。さらにたばこの銘柄による違いについても比較検討した。 メカニズム解析では、活性酸素種の関与を中心に調べた。H23年度において、ゲノムDNA中の8‐ヒドロキシデオキシグアノシン(8-OHdG)の生成量を定量することを試みたが、バックグランドの値が高く結論が得られなかった。H24年度はサンプル調製方法に工夫を加えて検討したが、8-OHdGの関与を証明できるデータは得られなかった。一方で、プラスミドDNAに対するDNA鎖切断活性を詳細に調べた。一本鎖DNA切断活性は認められたものの強い活性ではなく、副流煙タールに近紫外光(UVA)照射で生じる変異原性は、活性酸素種だけでなくその他の要因、おそらくDNAに付加体を作る作用があると判断した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施計画に沿って、実験は予定通り終了している。
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Strategy for Future Research Activity |
実験の実施に関してはおおむね順調に経過しているが、DNA鎖切断などの生物活性メカニズムに関しての解析結果では、予想していたレベルの活性が見いだせなかった。そこで、計画を少し修正してタバコ煙中の成分の分析から有効な情報を得るべく、機器分析を中心に行う予定である。
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Research Products
(7 results)