2011 Fiscal Year Annual Research Report
環境発がん性物質によるタンパク質付加体の解析と生体影響
Project/Area Number |
22510076
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Research Institution | Kanagawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
高村 岳樹 神奈川工科大学, 工学部, 教授 (50342910)
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Keywords | 発がん性物質 / タンパク質付加体 / 3-nitrobenzanthrone |
Research Abstract |
本研究では,「発がん性物質によるタンパク質の修飾とその生体影響」を明らかにすることを目標とする。特に新規発がん性物質である3-ニトロベンゾアントロン(3-NBA)や大気中の発がん性物質として広く知られているベンゾピレン(以下BaP)などを用い,(1)タンパク質(アミノ酸)-発がん性物質の構造未知の付加体の化学構造の決定,(2)発がん性物質の「化学構造,反応性の違い」と「タンパク質付加体の生成条件,種類」との関連,(3)生体試料中の標的タンパク質および修飾アミノ酸の位置の同定といったこれまで未解明の問題を解明し,さらに(4)タンパク質付加体の細胞内観測を行うことを目的とする。本年度は3-NBAの代謝活性化体であるN-acetyl-3-hdroxyaminobenzanthroneとトリプトファン,システイン,リシンとの反応,およびヒストンとの反応について検討を行った。3種類のアミノ酸はいずれも付加体由来のピークをLC-MSにより確認した。システインおよびリシンと反応生成物はトリプトファンよりも10倍程度収率が多いことを確認した。リシンに注目し,推定されるアミノ酸-NBAの付加体の別途合成方法の開発を行った。別途合成には,BINAPを用いるアリルアニメーションが有効であることが判明した。得られた標準物質を用い,LC-MSによる確認を行ったところ,リシンはNBAの2位と側鎖のアミノ基が共有結合している化合物であることが明らかとなった。この化合物はヒストンとNBAの活性体との反応により生じることも明らかとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アミノ酸と発がん性物質による付加体構造が決定された。また種々のアミノ酸と効率よく反応することも明らかとし,研究計画はほぼ順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後.,in vivoにおける生成物の確認を行う必要があるが,その際,検出器の感度の問題等により,in vivoにおける生成物の定量が困難である可能性がある。より効率的な解析方法が今後必要となる。
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Research Products
(4 results)