2010 Fiscal Year Annual Research Report
ライフステージや生活習慣による経口カドミウムの体内蓄積への影響
Project/Area Number |
22510077
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Research Institution | Osaka Ohtani University |
Principal Investigator |
閔 庚善 大阪大谷大学, 薬学部, 准教授 (60140406)
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Keywords | ライフステージ / カドミウム / 体内蓄積 / リスクファクター / 必須金属代謝 / 食餌性必須金属欠乏 |
Research Abstract |
カドミウム(Cd)は近年食品汚染濃度の国際基準が設定され、摂取する食品のCd汚染濃度が体内Cd蓄積量を決定する要因として考えられている。そのため、摂取する生体側因子の関与についてはほとんど検討されていない。本研究では、Cdが必須金属トランスポーターを介して消化管吸収されると考えられることから、ライフステージや日本の食生活による必須金属代謝や金属トランスポーター発現量の変動が経口Cdの体内蓄積のリスクファクターになるかを検討した。本年度は、経口カドミウムの体内蓄積に対する年齢、性別、閉経、妊娠と、食習慣のうち、日本の食生活で認められるミネラル欠乏の影響について検討した。ddY系マウスを用い、4~25週齢からコントロール食(Con食群)、鉄欠乏食(FeDF食群)、カルシウム欠乏食(CaDF食群)を与え、塩化カドミウム溶液(75Fg/マウス/日)を4週間経口投与した。閉経モデルマウスは卵巣摘出手術後、同様に食餌とCd投与(3~6か月間)を行った。さらに、10週齢の妊娠マウスを用い、妊娠1日目からコントロール食とそれぞれの欠乏食を自由摂取させ、妊娠6日目から塩化カドミウム溶液(150μg/マウス/日)を10日間経口投与した。臓器Cd濃度は硝酸灰化後、原子吸光光度計で測定した。その結果、(1)どの週齢においてもFeDF食群、CaDF食群で、有意な増加が認められた。(2)経口Cdの体内Cd蓄積量は、Con食群では認められず、FeDF食群やCaDF食群では低週齢ほど増加し、4週齢で他の週齢の1.5~3倍に増加した。(3)性差や閉経、妊娠では、ライフステージの変化よりも食餌性変化、つまり鉄あるいはカルシウム欠乏による経口Cdの体内蓄積量が顕著に増加した。以上の結果から、食品から摂取したCdの毒性発現のリスクファクターとして、低年齢層でのミネラルの欠乏が考えられる。
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Research Products
(1 results)