2011 Fiscal Year Annual Research Report
生体機能物質自己組織化膜を用いた蓄電システムの開発
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22510080
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
川口 俊一 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究院, 准教授 (90448407)
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Keywords | エネルギー / ナノテクノロジー / 自己組織化膜 / 界面制御技術 / スーパーキャパシタ |
Research Abstract |
本研究では、自然エネルギーを有効に利用して高効率で蓄電する新しい素子を開発することを目的として、生体機能物質による自己組織化法や基板のナノ構造制御技術を駆使することにより、従来の技術では蓄電容量に限界のあったキャパシタを大容量かつ急速充電・放電が可能な新しいエネルギー貯蔵システムとして活用することを目指して研究を進めた結果、以下のような結果を得た。 1)炭素基板上への生体機能分子による単分子層の構築 昨年度に、本研究で見出した炭素基板上のベーサル面に対する単分子層の構築法は炭素材料学会や電気化学会などで発表を行ったところ、非常に大きな反響が起きた。そのため、確かにこの技術が間違いないものであるか確かめることを要求されたため、様々な測定法を用いて、この技術の検証を行った。酸化還元種を溶液中に含ませて電気化学反応を確認したところ、炭素基板上の電気化学反応が生体機能分子の単分子層によって阻害されていることを確認できた。さらに、走査型電子顕微鏡を用いて、表面を観察したところ、規則的な構造を確認することができた。また、末端の官能基をメチル基のみならず、水酸基、カルボキシ基、アミノ基などに変えて測定したところ、表面の分子配列がそれぞれ独特な構造を有することを見出した。この基板を電気二重層型キャパシタとして用いたところ、これまでに報告の無い数百F/gの巨大な容量を持つことが分かった。 2)炭素基板上への酸化還元能尾を有する生体機能分子による単分子層の構築 末端がカルボキシ基を持つ機能性分子を炭素基板表面へ規則的に配列できたことから、その表面へアミドカプリング反応を用いて酸化還元能を有する官能基を導入することができる。そこで、酸化還元種にフェロセンを用いて、表面へ固定化したところ、2500Fg-1の巨大な容量を有するハイブリッドキャパシタを構築することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
想定していた蓄電容量よりも10倍以上高いデバイスができたことから、学術的にも工業的にも非常に大きな影響を与えている。非常に斬新であるために、慎重に様々な視点で調べる必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究で開発した技術を基にした蓄電デバイスの実用化に向けて、想定していた企業以外からも、様々な企業や研究機関がこの技術を必要としている状況にある。今年度の計画では、実用化に向けての課題解決を検討しているが、それらと共同して現在のエネルギー問題を根本的に解決する技術にしたいと考えている。
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Research Products
(8 results)