2011 Fiscal Year Annual Research Report
高度水処理や水資源確保を目的とした水中高電圧パルス放電プラズマの効率的生成
Project/Area Number |
22510082
|
Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
大嶋 孝之 群馬大学, 大学院・工学研究科, 教授 (30251119)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷野 孝徳 群馬大学, 大学院・工学研究科, 助教 (50467669)
|
Keywords | 高電圧パルス / 水処理 / パルス殺菌 / 生体由来分子 / 細胞膜 / 放電プラズマ / 気液混合 |
Research Abstract |
現在までに気相における放電プラズマは数多くの研究報告例が存在するが、水中(液相)での放電プラズマを用いた報告例はほとんどない。そこで水中で放電プラズマを作用させるために検討されているのが気液混合相での利用である。本研究では装置が簡便でメンテナンスしやすく、また試料だまりに投げ込んで使用できる装置を開発し、この装置の放電特性と実用性について調査研究を行い、以下の結果を得た。(1)投げ込み式放電ユニットによる放電プラズマの発生はエアー流量に依存する。最大放電頻度はエアー流量が6L/min以上で200回/sであった。(2)投げ込み式放電ユニットによる放電プラズマの発生は溶液の導電率に大きく依存した。またこの放電頻度を予測する近似式を提案した。(3)インジゴカルミンの脱色およびLASの分解効率はエアー流量4L/min以上(放電頻度150回/s以上)で最大となった。 また本方式の投げ込み式放電ユニットを用いたin situでの試料だまりへの殺菌処理を行い、以下の結果を得た。(1)投げ込み式放電ユニットによる放電プラズマにより大腸菌が殺菌可能であり、比較的短時間で高い殺菌効果が得られた。(2)大腸菌の殺菌効果はエアー流量に起因した放電頻度、ガス種、初発菌体濃度により影響をうけることがわかった。これらの中でも初発菌体濃度は殺菌効果に大きな影響を与えることが明らかとなった。(3)ラジカルスカベンジャーを用いた実験結果から、ラジカルの関与による大腸菌の殺菌割合は最低42%程度であった。水中放電プラズマで発生するラジカルは殺菌において重要な役割を果たしているが、ラジカルが殺菌メカニズムの全てではないことが示された。(4)大腸菌に比べ長時間の処理時間が必要となるが、投げ込み式放電ユニットによる放電プラズマにより枯草菌芽胞が殺菌可能であることが示された。また大腸菌の場合と同様に、初発芽胞濃度が殺菌効率に大きな影響を与えることが明らかとなった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究はおおむね順調に進展し、学術論文も発表している。また成果の一部は学会でも高く評価され、静電気学会において2011年度の論文賞を受賞している。また本研究の成果の一部を利用した共同研究も開始している。
|
Strategy for Future Research Activity |
基礎的研究課題についてはほぼ計画通りに推移しているので、このまま研究を遂行する予定である。ただ既存の活性汚泥法と本研究の柱である放電プラズマを組み合わせた水中有機物の除去を目的としたプロセス構築については、既存の活性汚泥プロセスの選定に時間がかかっており、研究期間中に成果が得られるよう努力している。今後さらに他の研究グループ、企業等へ働きかけ、検証実験の場を増やしていく予定である。
|
Research Products
(8 results)