2010 Fiscal Year Annual Research Report
バイオレメディエーションを目指した有機ヒ素化合物の嫌気的微生物変換機構の解明
Project/Area Number |
22510083
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
原田 直樹 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (50452066)
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Keywords | 有機ヒ素 / ジフェニルアルシン酸 / 嫌気分解 / 微生物多様性 / DGGE / 水田土壌 |
Research Abstract |
二度の世界大戦の後に世界各地で遺棄された化学兵器等に由来する有機ヒ素化合物が土壌・地下水汚染を引き起こし、大きな問題となっている。人への健康被害も発生していることから、こうした有機ヒ素汚染土壌の浄化を早急に行う必要がある。しかし、特に広範囲・低濃度な汚染に対しては、排土や洗浄といった物理化学的な浄化法の適用は難しく、より効率的で低コストな手法の確立が望まれている。本課題では、バイオレメディエーション法、つまり微生物を用いての有機ヒ素汚染土壌の新たな修復技術の開発を念頭に、土壌の有機ヒ素汚染物質として最も重要なジフェニルアルシン酸(DPAA)の還元的微生物変換機構の解明を目的に研究を行っている。平成22年度は、有機ヒ素化合物を添加した湛水土壌の培養実験を実施し、土壌微生物群集構造への影響をPCR-DGGE法を用いて調べた。その結果、DPAAは真正細菌叢や古細菌叢をほとんど変化させないことが明らかになった。またDPAAを還元的条件で変換可能な嫌気性微生物群の絞り込みを段階希釈法で行い、共役的な条件でDPAAを分解できるコンソーシアを得るとともに、それに含まれる特徴的な菌群について検討を加えた。今後、変換微生物そのものの特定を進めたい。さらには有機ヒ素化合物が嫌気的に微生物変換を受けた際に生じる代謝物をLC-ICP/MSを用いて解析し、フェニルアルソン酸と無機ヒ素が同定された。同時に未知ヒ素化合物も一部検出されたことから、その化学構造の推定を実施する予定である。
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