2012 Fiscal Year Annual Research Report
バイオレメディエーションを目指した有機ヒ素化合物の嫌気的微生物変換機構の解明
Project/Area Number |
22510083
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
原田 直樹 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (50452066)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 土壌圏現象 / 有機ヒ素 / 嫌気的微生物変換 / 硫酸還元 / チオ化 |
Research Abstract |
二度の世界大戦の後に世界各地で遺棄された化学兵器等に由来する有機ヒ素化合物が土壌・地下水汚染を引き起こし、大きな問題となっている。有機ヒ素汚染土壌の浄化には排土や客土、土壌洗浄といった物理化学的な方法が有効であるが、低濃度・広範囲汚染に対しては莫大な費用が必要となり現実的ではない。そこで本研究では、コスト的により優位な生物機能を用いた汚染土壌の修復技術の開発を目指し、ジフェニルアルシン酸 (DPAA)をモデル化合物として有機ヒ素化合物の還元的微生物変換機構について検討した。 その結果、DPAAを加えた模擬汚染土壌にさらに硫酸根と有機物を添加して湛水し、嫌気的に保つことによりDPAAの変換が有意に促進され、未知ヒ素化合物が生じることが見出された。次に、この未知代謝物の化学構造についてLC-TOFMSを用いた精密質量分析によって解析したところ、ジフェニルチオアルシン酸(DPTA)と同定された。こうした硫酸還元条件下における土壌中フェニルヒ素化合物の変換促進、およびチオ化物の生成は本研究において初めて報告されたものである。 このような硫酸還元条件下におけるDPAAのDPTAへの変換は、硫酸還元の競合的阻害剤であるモリブデン酸ナトリウムの添加によって阻害された。さらに、この反応に関与する嫌気性微生物の単離を限界希釈法と嫌気平板培養法を用いて試みた結果、DPAAをDPTAに変換可能な複合微生物系を4種獲得し、そのいずれからも硫酸還元菌に特異的な機能遺伝子である亜硫酸還元酵素遺伝子dsrABがPCR法によって検出された。一方、同じ土壌培養液から得られたがDPAA変換が認められなかった複合微生物系ではdsrABが検出されなかった。以上のことから、DPAAからDPTAAへの嫌気的変換には硫酸還元菌が深く関与していることが推察された。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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