2011 Fiscal Year Annual Research Report
食品リサイクルのための衝撃粉末化および衝撃殺菌技術の開発
Project/Area Number |
22510088
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
藤原 和人 熊本大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (50219060)
|
Keywords | 衝撃殺菌 / 衝撃粉砕 / 菌数評価 / 乾燥粉末殺菌 / 複合殺菌 |
Research Abstract |
22年度に得られたデータ及び関係を用いて、実用に耐えるような装置の設計を行い、実用化できる連続打撃式衝撃装置の開発に向けてプロトタイプを試作した。本装置は衝撃力の発生に電動ハンマを使用しており、高電圧を利用しないため安全であり実用的な装置として期待されるものである。また安全に衝撃波を発生する方法として微少量の爆薬を起爆する方法も検討しており、これを応用できる可能性も確認している。実際の食品に利用されている粉末と廃棄食品に対して衝撃粉末化および衝撃殺菌効果を評価した。殺菌効果を上げるには打撃装置の衝撃インピーダンスを上げ衝撃圧を高めることが有効であるが、食品の熱的な品質を保つために金属と樹脂の衝突によって発生する100MPa程度の圧力を作用させた。本装置の開発にあたっては衝撃力により樹脂部が破壊しない構造およびコントロールが必要な点が課題であったが、打撃部にコーン状の形状を採用することと最適な打撃周波数にコントロールすることで完成させることができた。一般のコロニー法による菌数評価では殺菌効果を正しく判定することができないので、昨年度の研究で有効と判別できた細菌の生活性を計測する方法を発展させ評価したところ、油脂分の少ないものでは油脂分が豊富なものより粉砕効果および殺菌効果が高いことを確認している。 さらに打撃粉砕と紫外線殺菌を複合させた殺菌法では、15Wの紫外線光でも効果が確認できた。粉砕サイズが小さくなるほど複合的な殺菌効果が増加することも確認している。現在得られている結果では予粉砕用のミルによる出力サイズの1/2(100μm)まで粉砕できているが、このサイズに対してまだ殺菌率は打撃のみで50%、紫外線併用でも80%の値しか出ていない。実用化するためにはさらに圧力を上げる必要があるが、予備的に行った打撃部表面の改質によって瞬間的に圧力を上げられることを確認している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
連続使用に耐えうる連続打撃殺菌装置を設計・製作している。また本装置においても粉砕効果および殺菌効果について確認できており、その効果の向上についても今後の見通しがついている。さらに実際に廃棄食品の粉末化に適用して一定の結果が得られており、実際的なシステムとしての発展の可能性が見出されておりおおむね順調に進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
・衝撃殺菌効果の向上:現在、食品の品質を低下させない衝撃圧力で打撃するために衝突する材料の片方には衝撃インピーダンスの小さなものを使用している。衝撃圧力を上げるために、この値を高いものに変えることで対応できるため、表面のみを改質を行い食品の品質にできるだけ影響を与えない圧力履歴を実現する。 ・リサイクル試料の品質に関する調査:リサイクル後の用途に応じて、品質の保持より保管時の安定性(すなわち殺菌)が重視されるものも考えられるので、用途ごとの品質と許容残存菌数の間のバランスについて調査を行う予定である。 ・処理プロセスの改良:乾燥過程や複合的に殺菌効率を上げる紫外線照射などのプロセスを改良し高性能化を計る。
|
Research Products
(6 results)