2010 Fiscal Year Annual Research Report
元素回収システム構築のための金属イオン耐性を有する新規マンガン酸化物の探索
Project/Area Number |
22510089
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
谷 幸則 静岡県立大学, 環境科学研究所, 准教授 (10285190)
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Keywords | レアメタル / 吸着 / マンガン酸化物 / リサイクル / 真菌 |
Research Abstract |
微生物が形成するマンガン酸化物(以下、バイオMn酸化物)は、様々な元素に高い親和性を有する。本研究は、高い重金属イオン耐性を有するMn酸化真菌を単離し、微生物を用いた元素回収システムの構築を目的としている。平成22年度の成果として、静岡県河川床石から新たに18菌株のMn酸化真菌を単離した。18S RNA遺伝子による解析の結果、Pleosporales目、Hypocreales目に属する株が高い割合で単離できた。国内外の報告を考慮すると、これらは環境中の主要なMn酸化真菌であることが明らかとなった。これらの新規単離株の成長とMn酸化活性への金属イオンの影響について調べたところ、重金属イオンから受ける阻害は多様性があることが明らかとなった。この中から比較的高い金属イオン共存下でMn酸化活性を有する株が単離することができた。また、Mn酸化物形成能に対するpHの影響について調べたところ、その最適pHに多様性があり、pH5.2付近で最大のMn酸化速度を示す真菌の存在が明らかとなった。従来よりモデル生物として使用してきたAcremonioum sp.KR21-2を用いて、重金属イオンの影響を調べたが、比較的低い重金属イオンでMn酸化活性が失われることが明らかとなった。一方、Acremonioum sp.KR21-2によってあらかじめ形成したバイオMn酸化物に対する金属イオンの吸着挙動を調べたところ、あらかじめ形成させたバイオMn酸化物とAcremonioum sp.KR21-2が共存することによって、比較的高い金属イオン濃度を含む溶液中で、吸着回収による還元反応やイオン交換反応に伴うMn(II)の再溶出が控えられることが明らかとなった。
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