2011 Fiscal Year Annual Research Report
元素回収システム構築のための金属イオン耐性を有する新規マンガン酸化物の探索
Project/Area Number |
22510089
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
谷 幸則 静岡県立大学, 環境科学研究所, 准教授 (10285190)
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Keywords | レアメタル / 吸着 / マンガン酸化物 / リサイクル / 真菌 |
Research Abstract |
微生物が形成するマンガン酸化物(以下、バイオMn酸化物)は、様々な元素に高い親和性を有する。本研究は、高い重金属イオン耐性を有するMn酸化真菌を単離し、微生物を用いた元素回収システムの構築を目的としている。平成23年度の成果として、Mn酸化真菌のモデル生物として使用してきたAcremonioum strictum.KR21-2の培養系を用いて、重金属イオンの影響を詳細に調べたところ、数10μMのCo(II)、Ni(II)、Zn(II)、Cd(II)等の共存によって、Mn酸化活性の失活や成長阻害が生じることが明らかとなった。一方、A. strictum.KR21-2によってあらかじめ形成したバイオMn酸化物に対する金属イオンの吸着挙動を調べたところ、あらかじめ形成させたバイオMn酸化物とA. strictum.KR21-2が共存する系では、mMレベルの比較的高い金属イオン濃度の共存下でも、Mn酸化反応が進行することが明らかとなった。オートクレープやNaN3添加によって生物活性を失活させた場合、あるいは窒素置換によって溶存酸素を除いた場合には、有意なMn酸化は生じないため、A. strictum.KR21-2の生物活性がMn酸化に必須であることが明らかになった。この結果から、重金属イオンを含まない系で、バイオMn酸化物をA. strictum.KR21-2によって前形成させることにより、重金属イオン耐性を有する金属処理システムの構築が可能にあると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前培養したAcremonioum strictum.KR21-2とバイオMn酸化物05混合系を用いることで、比較的高い重金属イオンが共存していても、生物活性によるマンガン酸化物形成が進行することが見出され、元素回収システムの構築に応用できる可能性が示されたため。
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Strategy for Future Research Activity |
Acremonioum strictum.KR21-2以外の単離菌株を用いた元素回収効率について、前培養系と同時添加培養系での共存重金属イオンの影響を調べることで、より高い耐性を有する微生物元素回収システムの構築をめざす。
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