2010 Fiscal Year Annual Research Report
新規分子計測法の産業レベルでの廃プラスチック精密識別への展開
Project/Area Number |
22510092
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
河濟 博文 近畿大学, 産業理工学部, 教授 (10150517)
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Keywords | マテリアルリサイクル / ラマン散乱 / 光熱変換 / 家電リサイクル / 黒色プラスチック |
Research Abstract |
家電リサイクル等から排出される廃プラスチックをマテリアルリサイクルするために、工業レベルでの大量処理に応用可能な新規プラスチック識別法につき研究を行った。 1. 本年度は主に超高速・高精度測定可能なラマン散乱分光装置を試作した。高出力半導体レーザ(中心波長:785nm)を励起光とし、発生したストークス散乱を透過型回折格子により分光し、裏面入射型FFT-CCDを用いて読み取る。CCDでは垂直方向にたまった電荷をビニング処理により1ラインに集めることで感度を向上させた。開発した識別アルゴリズムはFPGA回路に組み込み高速演算処理させた。その結果、最短3msで、識別可能なSN比のラマンスペクトルが測定可能となった。識別アルゴリズムは2種類のものを開発した。ひとつはピークの有無とその強度比によりプラスチックの種類と添加物含有が判定できる高速かつ適用性の広いもので、もうひとつは多変量解析の一種であるマハラノビス距離により解析するもので、スペクトルの歪みまでも検出し、廃プラスチックの劣化の程度が見積もれる。劣化の指標として重量減少温度といった熱物性に注目し、ラマンスペクトルの歪みと相関があることを見いだした。 2. 市販のプラスチック原料に無機系添加剤や臭素系難燃剤を所定濃度添加した標準試料を作成し、多くの廃プラスチック標本と共にラマン散乱スペクトルを測定し、廃プラスチック分光研究用のデータベースを充実させた。 3. 廃プラスチック片にレーザを照射し、発生する熱を赤外検出器で非接触測定し、その昇温・降温プロファイルからプラスチックの熱特性の違いを明らかにし、それによって種類を識別する方法についても検討した。本年度は、励起方法(連続光、断続光、パルス光)とそれぞれに応じた熱信号の測定方法につき検討した。この方法は他の分光測定では困難な黒色プラスチックの識別も可能となる。
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Research Products
(6 results)