2011 Fiscal Year Annual Research Report
低GWP冷媒を含む冷媒安定性の新規迅速計測方法の研究開発
Project/Area Number |
22510094
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Research Institution | Gunma Prefectural Industrial Technology Center |
Principal Investigator |
鈴木 崇 群馬県立産業技術センター, 研究員 (40196837)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
勝田 正文 早稲田大学, 理工学部, 教授 (20120107)
田島 創 群馬県立産業技術センター, 研究員 (30469887)
山本 亮一 群馬県立産業技術センター, 研究員 (40469888)
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Keywords | 低GWP冷媒 / 2,3,3,3-テトラフルオロプロピレン / 安定性迅速計測 / 強制循環式計測技術 |
Research Abstract |
平成22年度(初年度)に冷媒等を高分散型金属試料に強制循環させる接触反応技術をほぼ確立できた。この知見を基礎に平成23年度では、冷凍空調機器の部材として用いられているニッケル、銅、鉄、アルミニウムの高分散型試料を調製した。これに冷媒分圧13.3kPaで強制循環させることによって、約2時間の計測時間で金属と冷媒の安定性相対評価および同種金属存在下での冷媒同士の安定性相対評価ができる状況になった。このように、迅速計測技術の基礎は確立できた。この結果を活用して、強制循環系を有する評価装置に関し特許出願を行い(特願2011-196342)、第21回日本MRS学術シンポジウムで発表した。さらに、低GWP冷媒(HFO-1234yf)では現行冷媒(HFC-134a)に比べて約7-8倍分解速度が速く、中でもニッケル、アルミニウム存在下で両冷媒の安定性に開きが大きいことがわかってきた。この成果の一部については、平成23年度冷凍空調学会年次大会で発表した。さらに本年度は、オンライン質量分析計を用いたこによって、分解成分の同定が進み、HFO-1234yfが分解を起こす際にはフッ化水素(HF)が生成することなどが示唆された。特にシリカが系内に存在すると、引き抜かれたフッ化水素と反応しSiF_4とH_2Oを生成する可能性が考えられた。これらについては、現在、結果の取りまとめと検証、反応機構の精査を行い査読付論文への投稿準備中である。特に本年度は、安定性評価を考える上で、反応機構の追及に重点を置いた。その結果、学会発表、論文投稿に至る研究成果が得られている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の課題である低GWP冷媒を含む冷媒安定性の迅速計測方法に関し、約1週間程度の日数を要する現行法での評価時間を約2時間に短縮した。このように、簡便ながらも冷媒問の相対的な安定性、金属存在下での安定性を迅速計測できる状況になっている。本方法では、分解成分の分析も可能になるため、得られた結果から低GWP冷媒の分解機構について、知見が得られ始めている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、より実用面に近い状況での安走性評価に挑戦する。カーエアコンなどの実用空調機器では、冷凍サイクル中に水分(水蒸気)が混入することが知られる、二重結合を有する低GWP冷媒の加水分解の可能性などについて、迅速計測方法を活用して検討する。TCDだけでなく、質量分析計も用いて、無機ガスの分解生成についても考察を深めたい。昨年度の研究で、低GWP冷媒からフッ化水素が引き抜かれる知見が得られつつあるが、これについては、掘り下げた検討を行いたい。平成24年度は最終年度であるので、これまでの研究の総括を行う。
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