2011 Fiscal Year Annual Research Report
超臨界二酸化炭素を用いた高性能シロアリ防除剤の開発
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22510101
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Research Institution | Niihama National College of Technology |
Principal Investigator |
堤 主計 新居浜工業高等専門学校, 生物応用化学科, 准教授 (00300640)
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Keywords | 環境適応型ポリマー / ポリ乳酸 / 徐放剤 / 忌避剤 / 超臨界二酸化炭素 |
Research Abstract |
本シロアリ防除剤は、超臨界二酸化炭素(scCO_2)を利用し高揮発性化合物を徐放性のある生分解性ポリマーへの取込みが可能な"徐放剤"の技術を活用した材料である。本研究では、これまでの徐放剤作製技術をもとに、シロアリに対して強力な忌避効果を有する精油を用いてポリ乳酸(PLLA)やその共重合体への含浸性を評価するとともに、ポリ乳酸共重合体の徐放性を活用したシロアリ防除剤を開発することを目的としている。 今年度は、精油の含浸率や作製した防除剤の機械的特性について評価した。 scCO_2流体下における精油含浸率は、PLLAよりもその共重合体で高くなる傾向であったが、L-ラクチド(L-LA)/1,5-ジオキセパン-2-オン(DXO)ランダム共重合体(PLLArDXO)の含浸量が最も低かった。一方、含浸量が最も高かったのは、L-LA/ε-カプロラクトン(CL)ランダム共重合体(PLLArCL)であった。精油仕込量を2倍にすると、各ポリマーとも含浸量は1.2~1.5倍に増加した。 機械的特性の評価においては、できるだけ同じ精油含浸率のサンプルを用い、引張試験を行った。PLLAの応力は、精油を含浸させることにより大きく低下した。一方、L-LA/テトラメチレンカーボネート(TEMC)ランダム共重合体(PLLArTEMC)とPLLArDXOは大きく増加し、重合体によって傾向が異なっていた。PLLAは精油を含浸させることにより、伸度の増加がみられ、共重合体の伸度は、逆に低下した。PLLAの弾性率は、精油含浸による可塑化のために低下しており、柔軟性が高くなったと考えられる。PLLAよりも弾性率の低いポリ乳酸共重合体は、精油含浸により弾性率が増加しており、精油がL-LA以外のセグメントに影響を及ぼしていると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、3ヶ年計画の研究であり、現在2年目を終了した。当初の計画どおり、共重合体の合成、重合体への精油の含浸と含浸条件の検討、作製した防除剤の機械的特性の評価が終了しており、順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度で本研究は終了となるが、計画では、ヒバ油を含浸させた共重合体の徐放性を加水分解や酵素分解試験において評価する予定である。徐放性の評価方法については、共重合体から放出されるガス状の精油をGCにより評価するとともに、共重合体内に残存するヒバ油量をNMRで測定する。精油の含浸性、作製した防除剤の機械的特性と徐放性を決定し、新規防除剤として総合的に評価する。
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Research Products
(3 results)