2011 Fiscal Year Annual Research Report
無修飾ナノ粒子が示す特異な自己組織化現象の解明と制御
Project/Area Number |
22510103
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
辻 剛志 九州大学, 先導物質化学研究所, 助教 (50284568)
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Keywords | ナノ粒子 / レーザーアブレーション法 / コロイド / 自己組織化 / 凝集 / 表面修飾 |
Research Abstract |
本研究の目的はレーザーアブレーション法で作製した金属ナノ粒子が気-液界面において自己組織化する現象の解明と高次元構造作製法としての応用を目指すものである。昨年度の研究により、(1)自己組織化がナノ粒子の凝集によって起きること、(2)安定性と自己組織化との関与を調べた結果、銀ナノ粒子だけで無く、銅ナノ粒子においても自己組織化と見られる現象が起きること、が明らかになった。本年度はナノ粒子の安定性を支配する因子を明らかにすると共に、安定性をコントロールする方法を構築することを目標とした。 まず、液相のコロイドではコロイドの凝集を阻害する働きを示す界面活性剤や高分子(中性および気相のガス種の影響を調べた。興味深いことに、界面活性剤の場合、保護能を示さず、むしろ凝集を促進した。一方、高分子の場合はナノ粒子の凝集が抑制された。また、窒素中よりも酸素中の方が作製された金ナノ粒子の安定性が向上することが分かった。これらの結果から、気相中のレーザーアブレーションで生成したナノ粒子は表面に電荷を帯びており、この電荷が安定性を支配する因子の一つであることが示唆された。 次に、比較のために、液中のレーザーアブレーションで作製したナノ粒子の安定性に付いてもこれを支配する因子の解明とコントロールを試みた。その結果、液中レーザーアブレーション法で生成したナノ粒子は溶媒中に存在する親和性の高い物質を高効率に吸着する性質があることを見いだし、これを用いて安定性をコントロールできることを見いだした。さらに安定性をコントロールしたナノ粒子にレーザー光照射を行うことによって粒径の揃ったサブミクロン粒子が作製できることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
気相中で生成したナノ粒子の表面状態の観察やチューブ状の構造が生成するメカニズムについては来だ明らかになっていないが、液相中のナノ粒子の表面状態の解明と制御、さらにサブミクロン粒子の作製法としての応用が展開できた。
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Strategy for Future Research Activity |
気相中で生成したナノ粒子の自己組織化については引き続き計画している実験、特に銀ナノ粒子の安定性の制御に関する実験を行うことによって解析を進めていく予定である。一方今年度の実験により、液中で生成したナノ粒子についても自己組織化と密接に関係する安定性に関する興味深い知見が得られたので、これを用いた解析を取り入れる。これによって、自己組織化のメカニズムだけで無く、ナノ粒子の表面状態の解明と制御という当初の計画よりもさらに幅広い観点を取り入れたい。Z
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Research Products
(17 results)