2011 Fiscal Year Annual Research Report
高速結晶化過程の解明のための光トラップを用いた非接触式試料保持機構の開発
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22510109
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Research Institution | Japan Synchrotron Radiation Research Institute |
Principal Investigator |
福山 祥光 財団法人 高輝度光科学研究センター, 利用研究促進部門, 研究員 (20332249)
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Keywords | 結晶成長 / ナノ材料 / レーザートラップ |
Research Abstract |
X線回折実験において、試料と試料保持機構の接触を本質的に排除し純粋な物性研究や動的な構造研究を行なうために、また試料保持機構による散乱X線を極限まで抑制するために、光トラップを用いた非接触式試料保持機構の開発を行なっている。2011年度には、(a)光トラップされた微粒子の位置安定性の評価と(b)オンライン用トラップチャンバーの制作を行った。 (a)光トラップされた微粒子の位置安定性の評価 対向型光トラップを用いた非接触式試料保持機構にトラップされた試料微粒子の様子をCCDカメラで撮影し画像を解析することにより、試料微粒子の位置の安定性を評価した。本研究で開発している非接触式試料保持機構では粒径が数nmから数μmの微小粒子を保持する。これらの微小粒子からX線回折信号を得るためにはX線集光素子を用いてX線のビーム径を数μmに絞り試料に照射する必要がある。X線の集光位置と試料位置のオーバーラップを維持するためには、試料位置の安定化と安定程の評価が必要不可欠である。複数の安定化策を施した結果、試料微粒子の位置のジッターはレーザーの光軸方向に5μm、光軸と垂直な方向に0.4μmと評価され、当初の性能を満たすことが確認できた。 (b)オンライン用トラップチャンバーの制作 本研究で開発している非接触式試料保持機構は、SPring8のビームラインに設置されたX線回折計に組み込むことが前提であるため、試料保持機構の小型化が必要不可欠である。光学部品を含む大部分の構成要素を専用に設計・制作して、約20cm四方の試料保持機構を開発した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、原理検証実験、光トラップされた微粒子の位置の安定化と安定性の評価、オンライン用トラップチャンバーの制作が完了している。また、微粒子の試料保持機構での補足時間は、当初の計画(1時間)を大幅に超え約3時間に達している。この補足時間の長時間化は同一粒子に多様な測定が適用できることを意味しており、重要な成果と言える。
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Strategy for Future Research Activity |
開発した非接触式試料保持機構(オンライン用トラップチャンバー)を、SPring8(BL40XU)に設置しX線回折実験を実施する。X線回折用の標準試料であるCeO_2の微粒子を非接触式試料保持機構にトラップ・保持し回折実験を行い、回折信号とバックグラウンド(試料保持機構からの散乱X線)の比を評価し、既存の試料保持方法に対する優位性を示す。DVD相変化記録材料(アモルファス状態の微粒子)を非接触式試料保持機構でトラップ・保持し、高速結晶化過程解明のためのX線回折実験を行う。
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