2011 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ界面を制御した電極を用いたナノバブルの作製とナノバブルの界面構造の解明
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22510114
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
菊地 憲次 滋賀県立大学, 教授 (10074080)
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Keywords | 水素ナノバブル / 白金ナノ粒子 / ナノ界面構造 / ナノバブル界面 / 吸着水素原子 / 表面拡散 / 粒径制御 / 電流効率 |
Research Abstract |
(1)[ナノ界面構造を制御した電極の作製]: 電極のナノ構造と電気分解によって作製できるナノバブルの粒径との関連を明らかにするために、金、ルテニウムや銀の基板上に白金ナノ粒子を担持した。これによって、基板上に担持した白金ナノ粒子の粒径の約2倍に相当する粒径のナノバブルが作製できることを明らかにした。粒径分布で50~70nmと70~90nmの2つのナノバブルを作製できたが、粒径分布は広いままだった。また、ナノバブルの電流効率は20%ほど向上した。 基板の材料の違いはナノバブルの粒径に何の変化も与えなかった。一方、平滑白金電極を用いた場合には、ナノバブルの平均粒径は約150nmと報告されていて、われわれの報告とも一致している。水電解で得られる水素原子は白金表面上では吸着水素原子として存在し、白金電極表面を拡散できる。この拡散現象によって粒径が150nmと大きくなったと考えられる。しかし、金、銀やルテニウム表面での吸着水素原子の拡散量は、白金表面より小さいと考えられるので、吸着水素原子がナノバブル粒径に及ぼす効果は小さいと推定した。 これと同じ現象は、ダイヤモンド電極を用いたオゾンナノバブルの作製に於いても認められた。 以上のことから、吸着水素原子の拡散量が無視できる基板を用いることで、白金ナノ粒子の粒径で水素ナノバブルの粒径を制御できることを明らかにした。 (2)[ナノバブルの界面構造の解明]:ナノバブル界面には水酸化物イオンが蓄積され、水素イオンは蓄積されないことを明らかにしてきた。さらに、硫酸イオンを電解質に用いるとイオン強度とともに水酸化物イオンの蓄積量は減り、硝酸イオンを電解質に用いるとイオン強度とともに水酸化物イオンの蓄積量が増加する違いが生じることを明らかにして、ナノバブルのナノ界面構造を解明する手掛かりを得ることに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請したスケジュールにほぼ沿って進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)[ナノ界面構造を制御した電極の作製]:H23年度までに作製した電極を用いて、ナノバブルの粒径制御をすることは作製できたが、粒径分布は広いままだった。粒径分布を狭くするためには、これより、白金ナノ粒子などを基板上に規則正しく配列する。 (2)[ナノバブル界面へのイオンの蓄積とナノバブルの平均重さ]:ナノバブルの界面に蓄積している種々のイオンについてさらに検討するために、ナノバブルの粒径とナノバブルの平均重さを、遠心分離を通じて検討する。また、イオン強度がナノバブルの平均重さに与える効果についても検討する。これにより,ナノバブルのナノ界面構造および安定性を解明する。 (3)[ナノバブルの産業応用への展開]:ナノバブルは、ドラッグデリバリーなのに使われる報告が過去3年間で80報以上になっている。さらに、洗浄に利用した報告も増えている。そこで、洗浄や高濃度のナノバブルの作製法を確立して、積極的に産業応用への展開をする。
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