Research Abstract |
窒化物半導体としては,GaNに注目し,組成比と結晶性を維持しながら,ナノ領域の超微粒子にすることで表面積比率を増大することで,触媒機能の活性化を目指した.ナノ結晶構造体の形状の制御ができる,反応性パルスレーザーアブレーション(PLA)法を用いてGaN作製し,形状・結晶性に関する評価を行った. 焼結GaNターゲットに,Q-スイッチNd-YAGレーザー光(355nm,10mJ/pulse,4J/cm^2)を集光照射した.生成GaN中のN欠損の補償を目的として,雰囲気ガスとしてN_2を導入した,対向堆積基板には石英ガラスを加熱せずに用いた.雰囲気ガス圧力が生成物に及ぼす影響を調べるために,0-20Torrの範囲で条件を変えて実験を行った. 真空中で作製した試料はN欠損により金属光沢が見られ,高ガス圧力領域では金属光沢は見られなかった.しかし,ガス圧力を上げるにつれてGaNの六方晶系のXRD回折ピークが顕著に現れてくる.このことからガス圧力の上昇に伴い,結晶性が向上することが判明した. ガス中PLAを用いれば,独自の高温・高圧の励起状態と揮発性元素の閉じ込め効果により,NH_3を用いずとも,安全・安価で低活性なN_2の活用で,GaNナノ結晶を創製できる可能性が示されたといえる. 酸化物半導体としでは,TiO_2に着目し,反応性PLA法のプロセス条件が,生成されるTiO_2ナノ結晶の構造に与える影響を評価した.その結果,反応性雰囲気ガス(O_2)の圧力とターゲット-基板間(T-S)距離の調整により,TiO_2ナノ結晶の結晶型を制御できることを発見した.すなわち,T-S距離:20mm固定なら,O_2ガス圧力:130Paでアナターゼ型,200Paでアナターゼとルチル混在,260Paでルチル型となる.また,O_2ガス圧力:260Pa固定なら,T-S:8mmでアナターゼ型,14mmでアナターゼとルチル混在,20mmでルチル型,となる. 現在この現象に対して,ゲート付きI-CCDカメラを中心とする,in-situモニタリング機器を用いて,アブレート種の冷却・凝縮の動的過程の評価から解釈を与えようと考えている.
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