2012 Fiscal Year Annual Research Report
放射性核種トレーサー8Liによるナノスケールでのリチウム拡散係数測定
Project/Area Number |
22510118
|
Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
石山 博恒 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 研究機関講師 (50321534)
|
Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
|
Keywords | ナノ計測 |
Research Abstract |
本研究は現在の8Li放射性トレーサーによる拡散係数測定手法の限界値(D = 10^9 cm^2/秒)を定めている1秒あたり1 ミクロン程度の深さ位置感度をナノメータスケールの感度に改善する事で拡散係数の測定下限値を大幅に改善し、ナノスケールでの固体内のリチウムの動的挙動をその場観察することで、リチウム電池の正極、負極材料のオンライン、非破壊的拡散係数測定手法を確立することを目的とする。 本年度は、数値シミュレーションをさらに進め、Li電池材料内で1×10^-12 cm^2/秒までの拡散係数測定が可能となるように実験条件を最適化した。その結果は、Journal of Japan Applied Physics誌より出版し、国際会議EMIS2012、SIM2012等で発表した。さらに、原子力機構東海タンデム加速器施設において測定用検出器系を設置し、2013年3月に最初の実証実験を行った。試料としては、Li全固体薄膜電池の固体電解質材料の候補1つであるLi2O-V2O5-SiO2(LVSO)を用いた。同試料は従来の手法で300℃で検出限界ぎりぎりの拡散係数が測定されており、それ以下の温度では測定に成功していない。8Liビームは、同施設同位体分離器で生成分離し、8 keVのエネルギー、10^5 個/秒のビーム強度で照射を行った。結果として、180℃の温度で、アルファ線のエネルギースペクトル、ならびにその時間強度変化を観測し、Li拡散を観測できた。詳細な結果については現在解析中であるが、新手法では従来の検出限界を超えて測定できることが明らかとなり、本課題で開拓した新手法により、近年開発された固体NMR法、中性子非弾性散乱法でも測定不可能な拡散係数レンジでリチウム電池電極材料中のリチウム拡散を測定する道を開くことが出来た。
|
Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Research Products
(5 results)