2011 Fiscal Year Annual Research Report
ナノスケール高分子会合体-細胞膜界面における相互作用とシグナル変換
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22510120
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
西川 雄大 大阪大学, 大学院・情報科学研究科, 特別科学研究員 (40281836)
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Keywords | ナノ粒子 / 細胞膜 / エンドサイトーシス / カベオラ / 細胞内シグナル伝達 |
Research Abstract |
本研究課題「ナノスケール高分子会合体-細胞膜界面における相互作用とシグナル変換」では、「細胞膜における物質の取込み経路」と「ナノスケール高分子会合体(ナノ粒子)」との相互作用に伴う細胞応答について検討する。その目的は、ナノ粒子が新たな機能として"シグナル特性"を発現しうることを示すことである。具体的には、(1)ナノ粒子の構造と細胞膜構造におけるナノ粒子の取込み経路との関係、(2)細胞によるナノ粒子の取込みに伴う刺激(入力シグナル)の細胞内シグナル伝達によるシグナル応答と処理メカニズム、(3)ナノ粒子の構造とナノ粒子の細胞外シグナル特性との相関について解明する。 本年度は、(3)について検討を進め、以下の知見を得た。これまで用いていた両親媒性ポリシロキサンに替え、ポリスチレンナノ粒子(粒子径が20nm、50nm、100nm、200nmの四種類のナノ粒子)と血管内皮細胞との相互作用について検討した。ポリスチレンナノ粒子を血管内皮細胞に取り込ませ、このときの一酸化窒素合成酵素(eNOS)のリン酸化の割合、発現量の変化を検討した。その結果、カベオラの開口部サイズと同程度のサイズのナノ粒子が取り込まれた場合、eNOSのリン酸化が最も亢進することが分かった。 ナノ粒子の取込みによる血管内皮細胞における一酸化窒素の産生誘導は、ポリシロキサンナノ粒子だけでなく、ポリスチレンナノ粒子を用いても生じた。このことは、カベオラサイズ(50nm~100nm)のナノ粒子をデリバリーさせれば、一酸化窒素が産生し得ることを示唆する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの二年間にわたる研究により、本研究における三つの目的、(1)ナノ粒子の取込み経路、(2)ナノ粒子の取込みによる細胞応答、(3)ナノ粒子の構造と細胞応答との関係について、概ね基本的な知見が得られたため。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに、"ナノ粒子=入力シグナル"⇒"細胞応答(出力)"が可能であることが実験的に示された。つまり、天然以外のナノスケール物質がシグナル分子となりえる。これまでは、ナノスケール分子に焦点をあてて研究を進めた。今後は、細胞側のシグナル制御についても検討を進める。そのアプローチ法として、実際の細胞におけるシグナル制御の複雑さを排除したモデル系を用いる予定である。まず、リン脂質二分子膜小胞体(リポソーム)をプラットホームとして、取込みのためのカベオラをリン脂質二分子膜再構築し、リポソーム内への物質取込み評価システムを構築する。
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Research Products
(5 results)