2011 Fiscal Year Annual Research Report
活性酸素による酸化ストレス評価用マイクロアレイチップの研究
Project/Area Number |
22510125
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Research Institution | Nippon Institute of Technology |
Principal Investigator |
伴 雅人 日本工業大学, 工学部, 准教授 (70424059)
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Keywords | ナノチューブ・フラーレン / マイクロ・ナノデバイス / マイクロアレイ / ストレス |
Research Abstract |
本研究では、細胞などの生理的現象の定量評価に影響を与えないように「外場からコントロールが可能な『活性酸素発生源』」を開発し、これを用いて、(1)活性酸素により誘発される酸化ストレスに対する細胞内の抗酸化システムの機能解明、および、(2)細胞間・細胞内シグナル伝達分子としての活性酸素の機能解明に役立つ評価システムを構築することを目的としている。具体的には、インクジェット法にてC60結晶微粒子をウェル内部に形成した、可視光レーザ照射により生成量の制御が可能な「活性酸素発生源」をもつマイクロアレイチップを試作し、このチップにて細胞の酸化ストレスについて定量的な評価が行えることを実証する。 本年度は、インクジェット法によりC60結晶微粒子を形成させたPDMS製マイクロアレイチップのマイクロウェル中にてHeLa(ヒト子宮頸部癌由来)細胞を培養し、そこにグリーンレーザを照射した場合の細胞毒性評価を行った。インクジェットの吐出条件は、昨年度に得られた最適条件(より微細なC60結晶微粒子が3次元的に形成されており、蛍光分光によりもっとも活性酸素が生成された可能性が見られた条件)とした。その結果、C60結晶微粒子にレーザを照射した場合、暗室状態(0~4%)やC60結晶微粒子無しでレーザを照射した場合(0~11%)に比べ、高い細胞の死亡率50~100%が得られた。このことから、形成したC60結晶微粒子にグリーンレーザを照射することにより、活性酸素によると考えられる細胞毒性が発現することが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
活性酸素生成源としてのC60結晶微粒子を形成させたPDMS製マイクロアレイチップの試作ができ、これを用いた酸化ストレスに関する基本試験として細胞培養試験を行い、細胞毒性が発現することを確認することができたため、おおむね順調であると自己評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
多種類の細胞(癌細胞、幹細胞、神経細胞など)の培養実験を行い、各種細胞の接着性・増殖性(活性)、各種細胞のアポトーシス、幹細胞の分化などの機能誘導への活性酸素の影響を評価する。接着性についてはビンキュリン染色による接着点の評価を行い、増殖性および成長方向選択性についてはアクチンフィラメント染色による細胞の足の伸展方向の観察、アポトーシスについてはlive/dead蛍光試薬による観察評価を行う。また、幹細胞の分化についてはその発現状態を産生物質やイオンを蛍光顕微鏡や蛍光分光法にて観察あるいは定量化する。
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Research Products
(5 results)