2010 Fiscal Year Annual Research Report
高効率ハイスループット抗原特異的抗体産生細胞スクリーニングチップの研究開発
Project/Area Number |
22510128
|
Research Institution | Toyama Industrial Technology Center, |
Principal Investigator |
小幡 勤 富山県工業技術センター, 中央研究所, 主任研究員 (30416143)
|
Keywords | MEMS / 免疫細胞 / マイクロチップ / 医療用デバイス / 抗原抗体反応 |
Research Abstract |
ヒトの免疫機能を利用した抗体医薬を開発するために、特定のウィルスを特異的に攻撃する抗体を作り出す免疫細胞を選別する医療用チップデバイスの開発を行った。ヒトから採取した細胞の利用率を向上させるために、磁気を利用し一つのマイクロウェルに一つの細胞を強制的に導入する方法を考案した。すでに開発済のシリコンチップでの利用率は10~20%程度であったのに対し、本研究で開発したチップでは最高90%以上の性能が確認できた。さらに、抗体産生細胞スクリーニング技術(ISAAC)を導入することにも成功し、スクリーニング性能も従来の5~7倍程度であることが確認できた。 平成22年度は、デバイス要素技術開発中心に行った。チップの主要構成部のマイクロウェルは、感光性樹脂と薄膜構造を組み合わせることで、抗体親和性と蛍光顕微鏡観察時のバックグラウンド除去性を向上させた。ウェル形成時のフォトリソグラフィでは、めっき用下地電極の影響によるウェル形状の異常がみられたものの、下地電極にAR(反射防止)膜を形成することで制御可能であることを確認した。また、磁性膜は電気めっきによるニッケル膜を作製することで、チップ下に配置した磁石の磁束を集中させることが可能になった。ウェルを伴わない磁性膜を有するチップでは、磁性膜パターンサイズを最適化することで1磁性膜につき1細胞をトラップすることが可能であることを確認した。 目標とする細胞の強制的なトラップと抗原特異的抗体産生細胞のスクリーニングについて、本年度の研究で実現した。今後の量産性、信頼性を考慮した検討を今後引き続き行っていく予定である。
|