2011 Fiscal Year Annual Research Report
赤外レーザ光に応答するスマート・ナノチューブの作製と集積・加工技術の確立
Project/Area Number |
22510130
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
山内 健 新潟大学, 自然科学系, 教授 (90262477)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坪川 紀夫 新潟大学, 自然科学系, 教授 (20018675)
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Keywords | カーボンナノチューブ / スマート材料 / 熱応答性 / レーザ光 |
Research Abstract |
本年度はグラフト化カーボンナノチューブの化学構造、物性評価、電気特性、熱応答特性評価について重点的に検討した。 (1)スマート・ナノチューブの物性評価 スマート・ナノチューブは反応時間でポリマーのグラフト率を制御でき、そのグラフト率は最大50%であった。様々な有機溶媒への分散性を可視-紫外分光光度計を用いて調べたところ、アルコールや水などの極性溶媒に高い溶解性を示した。また、電気特性を2端子法により測定したところ、導電率はカーボンナノチューブと同様の値を維持していることが分かった。 (2)スマート・ナノチューブの熱応答特性評価 得られた機能性ナノ粒子の水溶媒での分散性について可視-紫外分光光度計を用いて調べた。カーボンナノチューブは水溶液に分散させても通常は1時間程度で沈殿してしまう。今回開発したスマート・ナノチューブは1週間以上を経ても分散状態を維持していることが分かった。さらに水溶液の温度を40℃以上にしたところ、ナノチューブの集合体が形成されていることがわかった。粒度分布計を用いて、様々な条件におけるこの集合体形成について検討した結果、集合体の粒径は狭く一様な形状であり、その直径は数μm程度で、粒径は温度によって制御できることも見出した。スマート・ナノチューブはグラフトしたポリマーが室温では親水性を示すため、水溶媒中では分散性に優れ、温度が40℃以上ではポリマーの相転移が生じて疎水性になるため、ポリマー鎖の疎水性相互作用でマイクロパーティクルを形成したと推察した。局所的に外部溶液を加温するとその部位に集合体を形成した。また、このスマート・ナノチューブを分散させた溶液にレーザ光を照射してナノチューブ自体を加温したところ、照射スポットにミクロサイズのナノチューブ集合体を形成することに成功した。以上のとおり、本研究で開発したスマート・ナノチューブは外部環境に応答して集合体を形成するとともに、レーザ光より材料内部を刺激することで、集合体を形成することを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
熱応答性高分子とカーボンナノチューブの熱応答特性について評価し、局所領域において温度制御により、カーボンナノチューブを集積化することに成功した。さらにはレーザ光照射により、超微細領域においてもこのナノマテリアルは応答して集積化することを見出した。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度はグラフト化カーボンナノチューブの赤外レーザ光応答特性と自己集積化機能の評価について重点的に検討する。具体的には以下の2点について検討する。 (1)赤外レーザ照射装置を用いて、グラフト化ナノチューブを分散させた溶媒に赤外レーザ光を照射する。この際に得られるナノ材料の集合体を可視-紫外分光光度計および粒度分布計で測定して応答速度および集合体のサイズを計測する。 (2)自己集積化機能の評価 マイクロ流路内にグラフト化ナノチューブを分散させた後、赤外レーザ照射装置により、マイクロサイズに焦点を絞ったレーザを照射する。この際のグラフト化ナノチューブ集合体形成の時間経過を高感度光学顕微鏡で観察するとともに動画撮影する。得られた結果を基に画像解析装置を用いて自己集合体の形成挙動について動力学的解析を行う。
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Research Products
(1 results)