2011 Fiscal Year Annual Research Report
順序・組合せ構造制約下における意思決定モデルの構築
Project/Area Number |
22510134
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
藤本 勝成 福島大学, 共生システム理工学類, 准教授 (50271888)
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Keywords | 社会ネットワーク / 安定性 / ネットワーク形成 / ハルサニ解 / 周辺度 / 中心度 / マイヤーソン値 / ポジション値 |
Research Abstract |
多基準意思決定問題、または、協力ゲームの理論においては、評価基準、または、プレイヤー全体の集合N、および、その部分集合上での尺度(重視度、利得) v : 2∧N→Rを基本要素として議論している。しかし、コミュニケーション制約など様々な理由から、すべてのS⊆Nについて議論することは現実的ではなく、実際には、より制限された状況を考える必要がある。これらに関して、定義域を無向グラフ上に制限した種々の議論が行われてきている。たとえば、グラフ上で連結なプレイヤーの集合のみを実現可能な議論の対象とし、各プレイヤーのネットワーク上での何らかのパワーに応じて、利得の再配分を考えるネットワークゲームの理論などがある。本研究では、本年度において、以下のような成果を得た。 1)ネットワークを構成する各々のメンバーに対する、ネットワーク内における周辺度、中心度を表わす指標を、それぞれ公理論的に導いた。 2)「ネットワークから得られる利得=周辺度」と考えた場合に、サイクルフリーなネットワークにおいて、また、その時に限り、ネットワーク形成が安定となることを明らかにした。 3)ネットワークからの受益のみを追求して、ネットワークの伸展・形成をはかった場合に、ネットワークの拡大局面(ネットワーク拡大へのインセンティブが大きい局面)においては、無閉路ネットワークが安定であることが示された。 また、これらの成果を国内の学会・研究集会・ワークショップなどを通して発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、ネットワーク上の各ポジションに関して、中心性と周辺性の観点から、それらを定量的に表現する指標を公理論的に導出するに至っている。また、それによるネットワークの安定性についても議論を進めているため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、動的なネットワーク形成プロセスを考え、ネットワークの動的安定性についても議論する。どのような状況下で、どのようにネットワーク形成が進み、どのようなネットワークにおいて、安定するのかを明らかにしていく。そうして得られたネットワークから生成される、順序・組合せ構造上における評価・意思決定の構造についても探っていく。
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