2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22510136
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
山本 芳嗣 筑波大学, システム情報系, 教授 (00119033)
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Keywords | 最小違反順序 / 線形順序多面体 / ラグランジュ緩和 / 劣勾配法 / 妥当不等式 / 双対ギャップ / ファセット |
Research Abstract |
最小違反順序問題の最適化問題への定式化は、順序付けるべき項目数をnで表すと、n(n-1)個の2値の決定変数と、n(n-1)/2本の等式制約と、さらにn(n-1)(n-2)/3本の不等式制約を持つ整数計画問題となる。項目数が300で不等式制約は約900万本となり、これはCPLEX、Xpress、Gurobiなどの最適化ソルバーで扱える規模ではない。この規模の問題を解くために、まず等式条件を用いて変数の個数を半分に減らした後、ラグランジュ緩和を用いて問題の緩和を行った。得られたラグランジュ緩和問題は、n(n-1)/2個の2値の変数を持つ無制約の整数計画問題となり、ラグランジュ乗数が固定されていれば容易に解くことができる。しかし、ラグランジュ乗数の個数はn(n-1)(n-2)/3個となり、最適なラグランジュ乗数を求めるためにはこの次元の空間での区分的線形凸関数の最小化問題を解かなければならない。そこで、ラグランジュ乗数の一部だけを考慮し、残りの乗数をゼロに固定することによって問題規模を小さくして、この制約のあるラグランジュ双対問題を劣勾配法と局所探索によって解く。この計算から得られた情報を用いて固定されていた乗数から必要な乗数を選び出し、考慮すべき乗数に追加するというアルゴリズムを作り、計算機実験を行った。一般にこの問題には双対ギャップが存在するため、最適なラグランジュ乗数が得られても原問題の最小違反順序問題が解ける保証がない。そこで、不等式制約が表現している順序の推移性を用いて、変数の釘付けテストを改良した。幾つかの実際問題から得られたデータでは、90%以上の変数について最適解での変数の値を同定することができるが、特に釘付けテストのために必要なグラフの推移的閉包を計算するための計算量が計算負荷となっている。そこで、釘付けテストを実施するタイミングの調整を行う改良を組み込んだ。このアルゴリズムを用いて、産業連関分析表から得られる産業構造の変化を示す係数を我が国の産業連関分析表を対象に計算した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
解の精度保証ができる近似解法を提案するという目的は、提案アルゴリズムが上界と下界の差である双対ギャップを与えるという点と、くぎ付けテストによって多くの変数が固定できるという点の2つの点で達成されていると考えている。また、産業連関表のような大規模な実データに関してもアルゴリズムはうまく動いている。しかし、乱数を用いて人工的に作った問題に対しては無視できない大きさの双対ギャップが計算終了時点でも残っており、この点がまだ改善すべき点として残っている。
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Strategy for Future Research Activity |
計算終了時点まで残る双対ギャップを解消するための妥当不等式の導入、-あるいは切除平面の追加などが今後の仕事として挙げられる。また、開発したアルゴリズムと同じ考え方が、最適クリーク分割問題に適用できることが分かった。この問題は質的データによるクラスター分析、あるいは複数のクラスター分析結果の集約問題などが帰着する問題であり、最小違反順序を求める問題と類似の構造を持っている。今後この最適クリーク分割問題のアルゴリズムの開発と実験を行おうと考えている。
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Research Products
(5 results)