2011 Fiscal Year Annual Research Report
良質な保育所の利用可能性と子育て世帯の就労意欲・行動分析
Project/Area Number |
22510140
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
河端 瑞貴 慶應義塾大学, 経済学部, 准教授 (60375425)
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Keywords | 社会福祉関係 / 政策研究 / 保育政策 / 都市計画・建築計画 / 地理情報システム(GIS) |
Research Abstract |
近年、認可保育所の待機児童が都市部を中心に爆発的に増加し、保育所の「質」と「量」の充実が喫緊の政策課題となっている。そこで、待機児童の多い東京23区を対象に、未就学児を持つ女性の希望する就労の実現における、保育所へのアクセスの重要性について実証的に分析した。その結果、次のことが明らかになった。①保育所アクセシビリティの低い地区(保育所の超過需要の生じている地区)が多数存在し、そうした地区の数や範囲は待機児童の多い3歳未満児(0~2歳児)で顕著に多いこと。②3歳未満児の場合、保育所アクセシビリティの低い区で待機児童数が多いという負の関係のあること。③保育所にアクセスできていると、未就学児を持つ女性の希望する就労形態の実現率が高いという正の関係のあること。 これらの結果から得られる政策インプリケーションは、次の3つにまとめられる。①3歳未満児の保育所アクセシビリティの向上は、待機児童解消政策の有用なアプローチの一つとなる。②十分な保育所の供給は、未就学児を持つ女性の希望する就労の実現を助ける。③女性の希望する就労の実現において、3歳未満児の保育所の充実は特に効果的である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)良質な保育所の利用可能性を調査し、分析した。対象地域は、全国の都道府県で最も待機児童の多い東京都の23区を選択した。地理情報システム(GIS)を用いて、詳細な空間単位で分析した。 (2)良質な保育所の利用可能性と子育て世帯の就労との関係を分析した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年1月より、厚生労働省「保育ニーズの把握方法に関する調査研究」検討委員会で保育ニーズの把握方法に関する議論が始まった。そこで、この委員会での議論も踏まえた保育サービスと就労に関するアンケート調査を実施して、分析する。その結果、より現実の政策に役立つ研究となることが期待できる。
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