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2010 Fiscal Year Annual Research Report

金融危機のネットワーク構造分析

Research Project

Project/Area Number 22510141
Research InstitutionThe University of Tokyo

Principal Investigator

藤井 眞理子  東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (90323550)

Keywordsファイナンス / ネットワーク
Research Abstract

平成22年度は、当初の研究実施計画で提示した研究課題のうち、「ネットワークモデルに基づく金融システム分析」について重点的に研究を進めた。具体的には、各金融機関を節点とし、相互の取引関係は枝で表現されると考え、金融機関間の取引構造をスケールフリー・ネットワークで表現した。ネットワークには、簡単な仮想的なバランスシートに基づく構造を与え、外的ショックに対するシステムの頑健性を左右する要因をシミュレーションによって検証し、効果的な金融監督のあり方について考察した。すなわち、1ないし複数の金融機関の非金融部門に対する投資の一部が、何らかの外的ショックによって毀損した場合に、そのショックがネットワークを伝播して取引のある他の金融機関をデフォルトに追い込む可能性の程度、すなわち、伝染効果について、定量的に検証した。
シミュレーションの結果からは、ホールセール市場からの調達に依存した規模の拡大はシステムの脆弱性を増す可能性が高いこと、他方、つながりが緊密になることは必ずしも伝染効果を増大させるとは限らず、ネットワークの構造にも左右されること、自己資本比率規制だけでは安定性のための効果には限界があること、複数の金融機関の資産に同時に価値の毀損が生じると、それらが大規模な機関でなくともネットワーク全体に伝染を起こる可能性が否定できないこと、などが示された。
分析を踏まえた政策的なインプリケーションとしては、共通のリスク要因に対するマクロ健全性監督が重要であり、監督上の規制指標としては自己資本比率規制を補完するレバレッジ比率や調達構造に係る指標の導入の検討などが示唆される。より現実的な分析のためには、金融ネットワークにおける取引データの蓄積やその解析などが不可欠であり、こうした知見を深めることが金融監督の基礎としても重要である。なお、以上の研究成果は、論文として公表している。

  • Research Products

    (1 results)

All 2010

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results)

  • [Journal Article] 金融システムの構造と伝染効果-ネットワーク・アプローチ-2010

    • Author(s)
      藤井眞理子, 高岡慎
    • Journal Title

      フィナンシャル・レビユー

      Volume: 第3号(通巻第101号) Pages: 98-118

    • Peer Reviewed

URL: 

Published: 2012-07-19  

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