2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22510141
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤井 眞理子 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (90323550)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | ファイナンス / 金融危機 / ネットワーク |
Research Abstract |
24年度においては、これまでの分析結果を踏まえ、ネットワーク分析で使われている「中心性指標」という概念を基礎に国際決済銀行(BIS)のデータ(銀行セクターが保持するカントリーリスク)などを活用した分析を進めた。第1に、連鎖に弱いシステムと頑健なシステムのそれぞれの特徴を把握するにあたっては、ノードの属性を考慮したパワー中心性の概念を金融システムの分析に適した形で定義し、欧州を中心としたリスクの保有構造に関する分析を行った。ここでは、ソブリン格付けで表されると仮定した各国の信用力の低下や資金の偏在がグローバルなリスクを増大させると考え、そうした潜在的なリスクを定量的に示す指標を提案した。指標を主要国について計算し、その合計値からグローバルな潜在的金融リスクの時系列での変化を読み取ることができる可能性を示した。第2に、適切な個別金融機関に関するデータが利用できれば、以上の分析における各国指数の計算手法を個別金融機関に適用し、世界的な金融規制において具体化してきた「システム上重要な金融機関」を捉えるための指標の一つとすることもできる。すなわち、24年度の研究ではBISデータが各国別の統計であるため、個別金融機関のリスク把握はできないが、同じ手法を政策当局などが自国内の金融取引に関する包括的なデータに適用すれば、国内金融ネットワークにおけるリスクの保有構造を知り、システム上重要な金融機関を把握する一助になると考えられる。こうした手法の提案やその適用結果に関する分析については、2013年5月に刊行予定の著作の1章として成果をとりまとめたところである。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(1 results)