2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22510153
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
田中 敬一 首都大学東京, 社会科学研究科, 教授 (00381442)
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Keywords | レジームスイッチ |
Research Abstract |
多くの資産価格理論では一物一価を仮定するので,価格付け汎関数は線形となるが,流動性に乏しい非完備市場の場合では,現実の価格付けは最早線形性を保っていない.そこで,本研究では,リスク尺度による評価方法を踏襲して,原資産の流動性に関する制約や原資産間の相互依存性を考慮しながら個別資産の評価を再構築することを目的とする. 一般的に曖昧さ回避による無差別価格はそのような非線形価格の性質を持っている. 本年度においては,回避したい曖昧さの源泉としてレジームスイッチによる不確実性を考察した.経済環境の状態を表す状態変数を規定するパラメータがレジームスイッチする状況における意思決定の問題を無限満期の枠組みで考察した.最適化の条件から,閾値の区間毎に異なる連立2階常微分方程式が導出され,それらを順次解く方法を提示した.また,初到達時刻に関する期待値計算の結果を得た.これらの結果の一部については既存研究で明らかにされているが,簡単なアイデアで普遍的に導出できるよう手法を解明したことは大いに意義があると言える. これらの結果に曖昧さを導入して結果を拡張すれば新たな知見を見出すことが期待できる.ただし,解析的に解いていくことは限界がありそうなので,数値計算に頼らざるをえないことが障害となりえる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
レジームスイッチに関する研究は順調に成果を得て各種学会で発表を行っている.ただし,曖昧さ回避への応用や信用リスクへの応用は検討事項が多いためさらなる時間を要する.
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Strategy for Future Research Activity |
レジームスイッチに関する曖昧さ回避の理論的研究を行う.解析的に解いていくことは困難が予想されるので,同時に数値計算で新たな知見を示せるよう試みる.
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Research Products
(5 results)