2011 Fiscal Year Annual Research Report
生産効率を最大化する倉庫機能の設計・運用を考慮した工場レイアウトの総合的研究
Project/Area Number |
22510159
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
伊呂原 隆 上智大学, 理工学部, 教授 (60308202)
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Keywords | 倉庫 / 生産効率 / シミュレーション / 工場レイアウト |
Research Abstract |
昨年度は効率的な倉庫機能の設計・運用の方法に焦点をあてた研究を行った.倉庫業務は部品や商品の受入から保管,ピッキング,包装,出荷まで様々な要素から構成されるが,これらの中でもとりわけ大きな時間とコストがかかるとされているのがピッキング作業である。ピッキングは倉庫に保管されている数多くのアイテムの中から目的とするアイテムを見つけて運び出す業務のことであるが,倉庫建屋のサイズが大きくアイテム数が多くなると,どのようにピッキングをするかによってピッキングに要する作業者の数や時間など,その総工数には大きな開きが出てくる.本研究におけるピッキング作業は作業者が倉庫内を巡回してアイテムをピッキングするタイプを前提として研究を進めている. 各作業者が必要なアイテムをすべてピッキングするバッチピッキングが多くの倉庫で採用されているが,研究代表者が行った倉庫の実態調査によれば,非常に狭い倉庫内の通路で多数の作業者がピッキングを行っているため,作業者の歩行に支障がでるブロッキングが頻発していた.そこで,各作業者のピッキング作業範囲を区切ってピッキング作業を行うゾーンピッキングの活用を検討したが,単純にゾーンを区切るだけでは,ピッキングしたアイテムのゾーン間の受け渡しやゾーン内の無駄な移動が増加し,バッチピッキングと比較して効率的なシステムとするのは容易ではなかった. そこで,昨年度はバッチピッキングとゾーンピッキングの長所をうまく融合し,逆に短所を補い合うような統合的ピッキング方法を検討した.また,これまでの検討ではアイテムの保管場所や棚のレイアウトさらにはどのようなアイテムを同時にピッキングするかというバッチングについては特に考慮してこなかったので,昨年度はこれらについても新たなモデルの考案,シミュレーション実験,そして実データなどを用いた有効性の検証などを行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該分野の文献調査,実際の企業倉庫・物流センター等における現場の実態調査,以上を踏まえた数理モデルの構築およびそのシミュレーション解析,最適化アルゴリズムの構築,数値実験などを進めてきており,おおむね順調に進展していると判断できる.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は,研究最終年度となるのでこれまでの研究成果を活用しつつ,具体的には次の3つのテーマに取り組む計画である.(1)ピッキング作業の効率化,(2)出荷作業の効率化,(3)ピッキングエリアの適切な在庫量設定.本年度は以上の各テーマについて企業における実データを利用し,種々の現実的評価尺度および制約条件を考慮しながら実用的なアプローチを行う.従来研究を十分踏まえたうえで,学術的にも新規性のあるモデルの考案そしてシミュレーション実験,そして実データを用いた有効性の検証などを進めていきたい.
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