2011 Fiscal Year Annual Research Report
計算知能による逐次近似多目的ロバスト最適化と工学問題への応用
Project/Area Number |
22510164
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
中山 弘隆 甲南大学, 知能情報学部, 教授 (20068141)
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Keywords | 多目的最適化 / ロバスト最適化 / 遂次近似最適化 / 計算知能 / 工学設計 |
Research Abstract |
工学設計など多くの実際問題に対する最適化においては、モデル誤差や実施誤差がどうしても生じ、解としてはできる限り最適であると同時にこれらの誤差に対しロバストであるという性質が望まれる。さらに、実際問題の多くは複数の視点から最適化する必要があり多目的最適化問題として定式化されることが多い。本研究の目的は多目的最適化問題に対するロバスト最適解を求める有効な方法を提案し、工学設計問題に適用してその有用性を検証することである。 本年度は、多目的最適化問題において、実施誤差の下でパレート最適性ができる限り保持されるというロバスト性を評価するための指標を提案し、数学的な性質を吟味した。これにより、ある目的についてはロバストであっても他の目的についてはロバストでない事例も普通に起こり得ることが明らかになり、意思決定に際しては総合的に判断しなければならないことを示した。 また、上記の理論や手法を実際の工学問題に適用するには数学的モデルが正確に得られることはほとんどなく、限られたサンプルデータからモデルを逐次予測しながら同時に最適化を行うという逐次近似最適化の枠組みの中で実施することが必要となる。ここに、計算知能を用いたモデル予測が重要な役割を果たすが、逐次近似多目的最適化においてモデル誤差が解のロバスト性にどのように影響を与えるかについて考察した。 提案したいくつかの方法の有効性はベンチマーク問題で検証を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Pareto最適性の保持というロバスト性を評価する新しい指標を提案し、その有効性をいくつかのベンチマーク問題で検証した。モデル誤差が解のPareto最適性に与える影響の分析は困難な問題も多いので十分に突き止められていない理論的分析もあるが、シミュレーションによって数学的性質の大枠は捉えている。
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Strategy for Future Research Activity |
解のPareto最適性の実施誤差に対するロバスト性の理論的および実験的考察はほぼ完了している。今後はモデル誤差に対するロバスト性の考察を重点的に行う。すでにシミュレーションでは大枠の性質を捉えているので、今後は理論的な検討を加え、実施誤差やモデル誤差がともに起こり得る多目的最適化における解のロバスト性、特にPareto最適性に対するロバスト性の理論分析を構築し、有効な解法を提案し、実問題でその有効性を示す予定である。
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