2011 Fiscal Year Annual Research Report
制震装置を兼ねた屋上緑化システムによる既存不適格建物の最適エコ耐震補強法
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22510183
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Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
堤 和敏 芝浦工業大学, システム理工学部, 教授 (70327758)
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Keywords | 既存不適格建物 / 耐震補強 / 屋上緑化 / 地球環境問題 / ヒートアイランド現象 / 地震力低減 / 制震装置 / 偏心率低減 |
Research Abstract |
地球環境問題、特に都市部でのヒートアイランド現象に対しては屋上緑化が有効な手段であり、新築物件では徐々に計画されてきているが、都市部の大部分を占める既存建物については、構造上の問題(荷重の増加)もあり進展していない。一方、1981年以前に建てられた既存不適格の建物も多数存在し、耐震補強が必要にもかかわらず実施されていない物件が多数存在する。本研究は、屋上緑化を制震装置とすることにより、耐震補強コストを削減し、既存不適格建物の耐震改修の推進と同時に地球環境問題に貢献する構造システムの提案を行うことを目的とする。 本年度は、屋上庭園装置が耐震補強効果と同時に地球環境問題にも貢献できる中高層建物を対象に、具体的な建物を設定し、多質点系地震応答シミュレーションを行い、各杭の余裕度に見合った重量の最適配置、制震装置の最適配置を検討した。 さらに、セットバックや耐震壁の偏在によるねじれ振動が生じる偏心建物についても制震装置付き屋上庭園がねじれ振動低減効果について有効かどうか検討を行った。ねじれ振動については、多柱列多質点モデルに対して、屋上庭園の重量、制震装置の配置をパラメータとしてシミュレーションを実行し、ねじれ振動を引き起こす偏心建物についても制震装置付き屋上庭園はねじれ振動低減に有効であることを確認した。 また、外部発表として、前年度の研究成果発表を8月の日本建築学会大会と9月の国際会議(ASEM11)で発表をおこなった。本年度の成果の一部は、第34回情報・システム・利用・技術シンポジウムで発表した。また、6月モスクワで開催される国際会議(ICCCBE14)と9月に開催される日本建築学会大会で発表予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画の部材レベルでの地震応答シミュレーションは実施できていない。その理由は、より優先度の高い、ねじれ振動を引き起こすセットバックや耐震壁が偏在する建物への制震装置付き屋上庭園の有効性を検証し・確認したためである。当初計画とは多少異なるが、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
東日本大震災の影響を受け、首都圏での大地震発生確率も高まっている。既存不適格建物への耐震補強は急務である。特に偏心率や剛性率に問題がある建物への対策は急務である。そこで、当初計画に対して、これら偏心率や剛性率に問題がある建物について、追加検討を行い、制震装置付き屋上庭園の有効性を検証・確認する。 さらに、当初計画にある柱・梁・杭部材の余裕耐力、付加される屋上庭園重量とその配置、耐震補強部材の配置組み合わせの中から、最小コストとなるエコ耐震補強法を提案する。
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Research Products
(6 results)