2012 Fiscal Year Annual Research Report
噴火イベントツリーとシナリオ、災害リスク評価による次世代型火山防災体制の検討
Project/Area Number |
22510187
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
中村 洋一 宇都宮大学, 教育学部, 教授 (10114167)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 火山災害 / 活火山 / 噴火活動 / ハザードマップ / 火山防災 / 噴火シナリオ / リスク評価 / イベントツリー |
Research Abstract |
火山災害の効果的な減災対策による火山防災のあり方について検討した。わが国での噴火活動の時空的傾向、噴火規模の頻度、噴火災害の要因別頻度などを把握するため、わが国の110活火山の過去約2000年間での噴火活動と災害のデータベースを作成した。 わが国での過去約2000年間での噴火活動は約1160回で、噴火活動の規模をVEI(火山爆発指数)で見積もると、平均発生間隔は噴火規模がVEI5とVEI4では時系列的変動は少なく、それぞれ約200 年と約50年であるが、VEI3とVEI2では約18年と約4年であるが、時系列的変動が認められる。噴火規模がVEI3とVEI2は最近約500年以降,VEI1は最近約150年以降で活動記録数に増加傾向がみられるが、これは記録の精度と保存状況に密接している。 わが国の火山災害をみると,過去約2000年間での犠牲者総数は約2万人であった(噴火後の飢餓などの二次災害は除く)。災害要因をみると、火山性津波の発生頻度は低いが犠牲者総数が最も多く,次いで土石流(火山泥流)であった。災害要因の発生頻度は降下火砕物(含噴石),土石流,火砕流の順であった。このうち、降下火砕物と火砕流の犠牲者数は噴火規模との対応が認められる。 噴火イベントツリー、噴火シナリオの検討、災害リスク評価作業については、活火山地域を具体的に事例としてとりあげて(那須岳、吾妻山など)、作業をすすめた。これらの成果を、火山防災シンポジウム、関係学会などで発表し、効果的な防災体制のあり方について火山研究者、防災関係者自治体担当者、地域住民などとの議論をすすめて、研究最終年度への資料とした。成果の一部は、防災科研(NIED)HPでも開示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究費申請時に提出した研究課題の目標と研究計画にしたがって、これまで研究を遂行してきたので(4年計画の3年度目)、本研究課題はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
わが国の110活火山の過去約2000年間での噴火活動と災害のデータベースを作成したので、これらの結果をもとに、噴火活動の時空的傾向、噴火規模の頻度、噴火災害の要因別頻度などのわが国での噴火活動と火山災害の特質を定量的な整理すすめることで、火山災害へ確率的予測の観点を取り入れた効果的な防災対策のあり方を検討する。 具体的な手法を検討するために、対象とする活火山をいくつか絞って、その活火山の噴火活動と災害の履歴、地域の自然環境や社会環境についての地域情報をGISで整理する。また、すでに整備され公表されている地域防災計画火山編、火山防災(ハザード)マップやハンドブックなどからその地域の火山災害リスク分析をすすめる。これらの結果をふまえて、確率的予測ふまえた噴火イベントツリーと噴火シナリオを作成する(この一部は、那須岳地域や吾妻山地域の場合でこれまでに実施済み)。 こうして検討した結果を、研究者、防災担当者、自治体関係者、地域住民などを含む地域の防災シンポジウムを開催することで、より減災効果があり、実践的な次世代型の火山防災のあり方を提案する。
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