2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22510193
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
石井 吉之 北海道大学, 低温科学研究所, 助教 (40222955)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 融雪洪水 / 降雨 / 積雪ライシメーター / 模擬降雨散水実験 |
Research Abstract |
降雨と融雪が重なると著しい河川洪水が起きる。あたかも降雨が融雪を加速させて洪水となったかのように見えるが、実際には雨が雪を融かす量はさほど大きくない。ではどうして洪水になるのか。積雪内部における降雨浸透水の挙動が鍵となるが、本研究では水の安定同位体をトレーサーとした雪面上への降雨散水実験から、マーキングされた水の動きを追跡することにより、積雪内での水貯留の実態、およびそれらと河川洪水との因果関係を解明することを目的とした。 現地観測は北海道北部の北大雨龍研究林で行なった。平成23年の融雪期の積雪深が100cmの時に、融雪観測室前の露場において、雪面上に著しい大雨があった場合を想定した模擬降雨実験を、降雨継続時間を変えて3回行なった。特に3回目の実験では、1平方mの雪面上に6時間かけて200Lの模擬降雨を散布した(総雨量200mm)が、積雪底面からの流出水はほとんど現れなかった。このことから、雪面上に多量の水が供給されると、積雪内における水平方向の水の流れが予想以上に顕著になることが分かった。 翌年の融雪期に、再度同じ場所で模擬降雨散水実験を行なった。積雪深は昨春の2倍近い170cmであったが、散水開始後50~90分で積雪底面から水が出始め、総散水量170~120Lに対し46~48Lの流出量であった。散水量と流出量が定常となった時点における流出水に含まれる模擬降水の割合は、水および同位体の収支式から概ね6~7割と見積もられた。これまで、晴天日の融雪や弱い降雨時には、雪面から供給された水が積雪内部に貯留されていた水を押し出すように流出し、積雪底面から流出する水の9割以上がこうした貯留水であると言われているが、多量の降雨時には異なった流出過程となることが明らかになった。 得られた成果の一部は国内の3つの水関係学会や積雪ワークショップの場で発表し、原著及び総説論文も執筆した。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(10 results)