2011 Fiscal Year Annual Research Report
豪雨反復発生による流域土砂動態の応答に関する砂防学的研究
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22510197
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
清水 收 宮崎大学, 農学部, 准教授 (20178966)
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Keywords | 気候変動 / 豪雨 / 土砂災害 / 土砂流出 / 土砂管理 / 河床変動 / 土砂滞留時間 / トランスポート・リミッテッド |
Research Abstract |
ルベシュベナイ試験流域とパラダイ試験流域において,年1回の定期の河床変動モニタリング計測を継続した。2003年から9年間分蓄積された河床変動データを用い,今年度はルベシュベナイ流域を集中的に分析し,以下のような成果を得た。 1.過去9年間には,24時間雨量および最大1時間雨量で観測史上1位の2003年と観測史上2位の2006年の2回の大規模降雨イベント,24時間雨量が120~150mmであった2005年と2010年の2回の中規模イベントがあり,これら以外の5年間は平年の降雨状況であった。調査区間全体の河床変動量は,大規模イベントで3万~5万m^3,中規模イベントで8千m^3,平年で4千~6千m^3であった。これらより,2003年の大規模降雨で河床に土砂が過剰に存在する状況が出現し,そのため平年降雨でも土砂洗掘が起こるようになったこと,土砂移動量が降雨量に応じて増大することからトランスポート・リミテッドの状況であること,がわかる。 2.平均河床高の時間的変化から,小区間ごとの河床変動の特徴を把握した。最上流区間はイベント時にのみ河床変動が発生し,平年時はほぼ無変化であり,源流特有の小さい流量と大きい粒径のためと考えられた。上流区間は2回のイベントでの大規模河床上昇と,それに続く大きい速度の河床低下で特徴づけられ,急勾配区間における土砂過剰状態の挙動パターンとみなせる。上~中流区間は2回のイベントでの河床上昇が大きくなく,その後の河床低下によって2年後および5年後に元の河床高に戻った。これより,移動が活発な区間であり,土砂の滞留時間が短いことがわかる。中~下流区間は,小さい速度での河床低下が定常的に続くか,あるいは河床高がほとんど変わらない平衡状態を示し,下流特有の挙動と考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目的に挙げた以下の2点,すなわち1)堆積規模と洗掘レートとの量的関係の特性とその支配要因,2)土砂量の累積作用が土砂洗掘・減少過程に与える影響について,小区間に分割して特性を相互比較することで,解明しつつあるため。
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Strategy for Future Research Activity |
もう一つの調査流域の分析を進める。また,研究成果の発表を積極的に行う予定である。
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