2010 Fiscal Year Annual Research Report
ヒストン修飾酵素と転写因子の共同作業によるB細胞特異的なアポトーシス制御システム
Project/Area Number |
22510203
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
中山 建男 宮崎大学, 理事 (60031712)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊池 秀彦 宮崎大学, 医学部, 助教 (10301384)
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Keywords | ヒストンアセチルトランスフェラーゼ / アポトーシス / 活性酸素 / DT40 / ジーンノックアウト法 / PI3キナーゼ/Akt経路 / GCN5 / チロシンキナーゼ |
Research Abstract |
本研究課題において、平成22年度はヒストンアセチルトランスフェラーゼ(HAT)の1種であるGCN5がチロシンキナーゼSykおよびBtkの遺伝子発現制御を介して、過酸化水素処理によって未熟B細胞に引き起こされるアポトーシス細胞死をコントロールすることを明らかにした。具体的には次のような成果が得られた。ニワトリB細胞系株細胞DT40(未熟B細胞)の私共がジーンノックアウト法で作成したGCN5欠損株を低濃度(100μM)の過酸化水素で処理したところ、野生株と比較して細胞死が顕著に促進された。過酸化水素を含む活性酸素分子種(ROS)刺激による細胞死から細胞を防御する細胞内情報伝達機構であるPI3キナーゼ/Akt経路に関与する遺伝子群の発現量を網羅的に調べたところ、GCN5欠損株ではROS抵抗性のkey enzymeであるSykおよびBtkの遺伝子発現量が共に顕著に低下(~35%)しており、このことが本変異株における過酸化水素感受性亢進をもたらしていると考えられた。事実、GCN5欠損株では過酸化水素処理に伴うAktのリン酸化レベルが野生株と比べて顕著に低下(~35%)しており、PI3キナーゼ/Akt経路が充分に機能していないことが判明した。さらにクロマチン免疫沈降法(ChIPアッセイ)を行うことにより、GCN5がSykおよびBtk遺伝子の5'-非翻訳領域に結合していることを証明し、GCN5がこれら2種類のチロシンキナーゼの遺伝子発現に重要な役割を担っていることを明らかにした。以上の研究成果およびその他の研究成果はBiochemical and Biophysical Research CommunicationsやThe Journal of Immunology等の3つの国際学術雑誌に発表した。
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