2011 Fiscal Year Annual Research Report
バクテリアの生育に必須な「外来遺伝子群抑制システム」の解析
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22510204
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
加藤 潤一 首都大学東京, 理工学研究科, 教授 (10194820)
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Keywords | 大腸菌 / ゲノム / 染色体 / 外来遺伝子 / プロファージ |
Research Abstract |
(1)必須遺伝子YqgFの解析 yqgF遺伝子の生物学的機能については、遺伝学的解析により、Rhoタンパク質依存性転写終結配列に対する抗転写終結に関与する事が示唆されていた。そのメカニズムを明らかにするために、精製したYqgFタンパク質を用いて転写におけるR-loopへの影響について調べたが、影響は見られなかった。また転写終結に必須なNusAタンパク質の、DNA複製と転写の衝突およびDNA修復への関与が報告されたので、YqgFタンパク質のこれらへの関与について遺伝学的に調べたが、関与を示す結果は得られなかった。一方YqgFタンパク質の構造と機能について遺伝学的解析を行い、Disordered structure領域の生育に必須な機能への関与とその機能に重要なアミノ酸残基が明らかになった。 (2)必須遺伝子ygjDの解析 ygjD高温感受性変異株から単離されたサプレッサー変異株のゲノム構造について、全塩基配列を決定して解析した結果、染色体構造が大きく変化していることがわかった。さらにこのサプレッサー変異株について詳細に解析した結果、ygjD高温感受性変異株では、挿入配列IS1の転位頻度が上昇していることが明らかになり、またDNA複製と転写の衝突に耐性になっていることが示唆された。 (3)外来遺伝子領域を欠失させた菌株の解析 我々が外来遺伝子領域を欠失させて作製した染色体大規模欠失株群について、酸化ストレス耐性を調べたところ、染色体を欠失させていくに従って耐性度の低下と回復が見られること、また好気的、嫌気的の培養条件によって耐性度が変化することがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
必須遺伝子yqgF,ygjDの両方について、昨年度までの成果を論文として発表し、またそれぞれ新しい成果も得られて、現在論文にまとめる準備をしている。特にyqgF遺伝子については、機能を明らかにする上で大変興味深い知見が得られた。また我々が外来遺伝子領域を欠失させて作製した染色体大規模欠失株群についても興味深い知見が得られたので、染色体大規模欠失株群の作製と共に論文として発表し、さらに詳細な解析が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
必須遺伝子ygjDについては、昨年他の2つのグループにより機能が明らかにされたので、現在までに得られた成果を論文にして発表するところで区切りをつける。必須遺伝子yqgFについてはまだ機能が明らかになっておらず、現在までに大変興味深い知見が得られているので、さらに詳細な解析を進める予定である。また染色体大規模欠失株群を用いた解析からも、多くの興味深い知見が得られてきており、いくつかの方向に研究を発展させて解析を進める予定である。研究を遂行する上での問題点は、このように多くの成果が得られて、当初最終年度として計画していたより研究が大きく発展しつつあるため、研究費が大きく不足している点である。
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Research Products
(13 results)