2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22510208
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
新海 暁男 独立行政法人理化学研究所, 機能解析第1研究チーム, チームリーダー (10391989)
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Keywords | 転写因子 / 転写制御 / 機能未知遺伝子 / Thermus thermophilus / TetRファミリー / 機能ゲノム科学 / 機能発見 / 蛋白質 |
Research Abstract |
本研究の目的は、遺伝子数が2,200個と比較的少ない高度好熱菌Thermus thermophilus HB8株をモデル生物として用い、ゲノム全体の約1/4~1/3も存在している機能未知遺伝子を転写制御の観点から分類し、それらの機能を推定することである。ある1つの転写因子が複数の遺伝子を制御している場合、それらの遺伝子の機能は関連している場合が多いので、転写因子の標的遺伝子の中に機能既知遺伝子と機能未知遺伝子が含まれていれば、機能未知遺伝子の機能を推定できる。昨年度に引き続き、本年度も、数多くの遺伝子の発現を制御しているグローバル転写因子ファミリーに属する各種転写因子の機能解析を行い以下の成果を得た。(1)TTHA0973(PaaR):本転写因子は、機能未知遺伝子1個を含む、フェニル酢酸の分解に関与している2つのオペロンを負に調節していることを、昨年度明らかにした。今年度は、論文発表と学会発表を行った。(2)TTHB023:本転写因子の遺伝子を破壊した株において、野生株に比べて発現が有意に上昇する遺伝子を、DNAマイクロアレイ解析によって発見した。それらの遺伝子のプロモーター領域には共通保存配列が見いだされた。さらに、本転写因子は、その配列に結合し、転写を抑制する活性を持つことをin vitro転写実験、BIAcore実験により明らかにした。本転写因子の標的遺伝子として、脂肪酸、或いは、フェニル酢酸の代謝に関与していると思われる8つの遺伝子(3つのプロモーター)を同定できた。(3)TTHA0167:本転写因子に結合するDNA断片をGenomic SELEX法を用いてスクリーニングし、それらの塩基配列を解析し、本転写因子の標的塩基配列を推定した。さらに、in vitro転写実験、BIAcore実験により、本転写因子は、推定した標的配列に結合し、転写を抑制する活性を持つことを明らかにした。本転写因子の標的遺伝子として、機能未知遺伝子2つを含む4つの遺伝子(2つのプロモーター)を同定できた。(4)TTHB099:外部との共同で、DNAマイクロアレイ解析を用いた標的遺伝子の探索を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
数多くの遺伝子の発現を調節していると考えられる6種類の転写因子;TTHA0101,TTHA0167,TTHA0973,TTHA1567,TTHB023,TTHB099の機能を明らかにすることを目標に研究を開始した。これらのうち、TTHA0101(FadR)、及び、TTHA0973(PaaR)の機能を明らかにし、それぞれの論文を発表した。TTHA0167とTTHB023に関しては、本転写因子に結合するリガンドの同定には至っていないが、標的遺伝子を同定することができた。TTHB099に関しては、外部との共同で機能解析研究が進行中である。TTHA1567に関しては、来年度機能解析を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
TTHA1567の機能解析に関しては、トランスクリプトーム解析によって標的遺伝子の探索を試みる。さらに、TTHA1567蛋白質を調製し、Genomic SELEX法で標的遺伝子の探索を試みる。TTHA0167及びTTHB023に関しては、立体構造解析を行い、この情報に基づいて、当蛋白質に結合するリガンドを推定したい。それと並行して、これらの転写因子に対する抗体を用い、低分子化合物ライブラリーからリガンドの探索を試みたい。
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Research Products
(5 results)