2010 Fiscal Year Annual Research Report
ES細胞におけるERas遺伝子のRho/ROCK経路を介したアポトーシスへの関与
Project/Area Number |
22510212
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
池田 たま子 自治医科大学, 医学部, 助教 (10406035)
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Keywords | ES細胞 / ERas遺伝子 / ROCK阻害薬 / アポトーシス |
Research Abstract |
霊長類iPS/ES細胞は、マウスES細胞の様に、単細胞継代培養を行うと、殆どの細胞がアポトーシス(継代時の細胞死)を起こす性質がある。その為、臨床応用に向けた、ヒトiPS細胞の「遺伝子改変」や「株化細胞樹立」の大きな障害となっている。我々は、霊長類とマウスES細胞の違いに着目した結果、ERas遺伝子発現が異なることを見つけた。近年、ヒトES細胞にROCK阻害薬を添加することにより、単細胞継代時のアポトーシスを抑制し、細胞増殖を促進できることが報告された。しかし、ROCK阻害薬の霊長類ES細胞への作用機序については、不明な点が多い。我々は、ERas遺伝子は、ROCK阻害剤の作用機序を担う一因子である可能性が高いと考えた。本研究では、マウス・霊長類ES細胞におけるERas遺伝子の「Rho/ROCK経路」を介した「アポトーシス」への関与を明らかにしたい。 本年度は、ヒトに近いカニクイザルにおいて、ERas遺伝子発現を調べた。その結果、カニクイザルでは、ES細胞のみならず、体細胞(心臓・小腸・脾臓・胸腺・卵巣・骨格筋・肝臓・脳・腎臓)にも発現していることが分かった。しかし、発現量をGAPDHで補正すると、マウスES細胞と比べ、カニクイザルのERas遺伝子の発現量は、ごく僅かであった。次に、カニクイザルのERas遺伝子の発現ベクターを作製するために、カニクイザルES細胞からRNAを回収し、ERas遺伝子配列を調べた。カニクイザルERas遺伝子は、マウスよりも、ヒトERas遺伝子配列に近いが、かなりの確率で変異が発生している事がわかった。ヒトへの進化過程の途中にある為、サルのERas遺伝子は、シュードジーン化する可能性も示唆された。次年度は、作製したサルERas遺伝子発現ベクターを用い、アポトーシスとRhoへの関与について調べる予定である。
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Research Products
(3 results)