2011 Fiscal Year Annual Research Report
哺乳類胚におけるエピゲノム制御のシステムレベルでの解析
Project/Area Number |
22510220
|
Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
熊木 勇一 独立行政法人理化学研究所, 哺乳類エビジェネティクス研究チーム, 研究員 (50455341)
|
Keywords | エピジェネティクス / DNAメチル化 / ヒストン修飾 / システムバイオロジー / バイオインフォマティクス / エピゲノム |
Research Abstract |
ゲノムDNAのメチル化は、エピジェネティックな遺伝子発現制御システムであり、発生や分化に代表される重要な生命現象や疾病への関与が明らかになりつつある。このゲノムDNAのメチル化により染色体における遺伝子発現制御は変化し、遺伝子の発現・制御のネットワークは大きな影響を受けている。したがって遺伝子の発現・制御のネットワークを明らかにするためには、発生・分化といった細胞の状態変化時におけるゲノムDNAのメチル化の役割をゲノムワイドに調べる必要があり、本研究ではエピジェネティックな遺伝子発現制御ネットワークのシステムを理解することを目的とする。 そのために前年度取得した、ES細胞、中胚葉系細胞、栄養膜幹細胞の3種類の細胞の、3つのDNAメチル化酵素を欠損しDNAメチル化が存在しない細胞(TKO細胞)とそれぞれの野生株細胞について、遺伝子発現及びヒストンH3 lysine 4残基のジメチル化(H3K4me2)、lysine 27残基のトリメチル化(H3K27me3)、lysine 9残基のジメチル化(H3K9me2)の3種類のヒストン修飾のChIP-chip法によるゲノムワイドデータについて、バイオインフォマティクスによる解析とその解析手法の開発を行った。 その結果、1.遺伝子発現ではDNAメチル化の有無の影響は3つ細胞種類間の違いよりも小さく、また、DNAメチル化の有無の影響は細胞種類によって異なること、2.DNAメチル化の有無は3種類のヒストン修飾の中でH3K27me3に最も大きく影響すること、3.(1)プロモーター領域のCpG配列の密度が低い遺伝子、(2)プロモーター領域のCpG配列の密度が高い遺伝子で、DNAメチル化の有無のH3K27me3に対する影響が異なることを明らかにした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
DNAメチル化の遺伝子発現制御ネットワークに与える影響を、ヒストンのメチル化修飾与える影響を通して明らかにすることができつつある。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究課題における研究実績をまとめ、論文の投稿を行う予定である。
|