2011 Fiscal Year Annual Research Report
システムイメージングを用いた外胚葉分化の包括的解析
Project/Area Number |
22510221
|
Research Institution | Research Institute, Osaka Medical Center for Maternal and Child Health |
Principal Investigator |
吉田 千春 地方独立行政法人 大阪府立病院機構 大阪府立母子保健総合医療センター(研究所), 病因病態部門, 研究員 (60360666)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松尾 勲 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立母子保健総合医療センター(研究所), 部長 (10264285)
|
Keywords | マイクロアレイ / 神経上皮 / 表皮外胚葉 / マウス / 遺伝学 |
Research Abstract |
昨年度(平成22年度)では、表皮外胚葉と神経上皮との間でマイクロアレイを行い、表皮外胚葉で高発現として得られた396遺伝子に対して、既知のデータベースや文献をもとに表皮の発生に関与していると予測される数個の転写因子に絞った。 次にこれら注目した遺伝子群のクローニングを行い、野生型胚での発現・局在を知るため、in sutuハイブリダイゼーション法を行った。結果、神経胚期に表皮と神経外胚葉との境界領域で発現する転写因子のファミリーがわかった(遺伝子A、B)。そこで、このファミリー因子に対して、個体レベルの機能解析を行った。具体的には、これら因子の過剰発現マウスを作製し、表皮と神経上皮形成に着目して表現型解析を行った。結果、遺伝子A過剰発現マウスでは着床前に異常が見られ、胚全体が上皮化するような表現型となった。また遺伝子Bの過剰発現マウスでは、概ね神経胚期まで成長し、その時点では表皮外胚葉が過形成となり、逆に神経上皮が若干の低形成となることがわかった。さらに、遺伝子Aのドミナントネガティブコンストラクト過剰発現マウスでは、先ほどとは真反対の表現型、つまり神経上皮が優位となり、表皮外胚葉の低形成となることもわかった。これらの結果から、今回マイクロアレイで得られた因子には、表皮のマスター遺伝子ともいえるような遺伝子が含まれており、その因子の発現パターン、過剰発現などの表現型からも大変興味深いものであることがわかった。 今後、これらの因子とカノニカルWnt経路との関係を明らかにしていきたいと考えている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
表皮を亢進して形成できる因子が同定出来たことは大変興味深く、またその際には神経上皮が低形成となるのは、この二つの運命決定のバランスが前脳形成に重要であることが示唆出来たため。
|
Strategy for Future Research Activity |
得られた表皮マスター因子の転写制御を明らかにする。また、転写制御を明らかにする際には、レポーター遺伝子をもったトランスジェニックマウスの作製などを考えている。作製したトランスジェニックマウスでレポーター活性が得られなかった場合、ChIP解析などを用いて、生化学的な手法も取り入れて解明する予定である。
|
Research Products
(2 results)